アルファ・クラブ掲載記事   アドバイス 昌平クリニック院長 鍋谷欣市

以下はALPHA CLUB 259号(1/'04)【私の工夫 それぞれの後遺症対策】に掲載された記事です
ひまわり 膨 満 感
flower1 犬と散歩をするうちに
大阪府 Tさん (73歳)
  1年に1度、成人病検診を受けていましたが、検査後半年過ぎに、背中に痛みを感じて受診しました。
  平成10年7月、早期胃癌といわれ、胃の3分の2を切除しました。
  術後、他の後遺症は軽かったのですが、食後の腹痛と膨満感で苦しみました。パンパンにおなかが張って苦しいのですが、どうにもならず、時間が過ぎるのを待つだけでした。
  術後3年、運動したほうが良いといわれ、毎朝、犬の散歩に付き合い30〜40分歩いているうちに、膨満感も腹痛も感じなくなってきました。
  食事は消化の良い物を少量ずつとり、ビタミンやカルシウムなども不足しないよう栄養に気をつけています。術前46kgだった体重は、術後42kgに減りましたが、現在は44kg.まで増えました(身長145cm)。
  ストレス解消に、暇をみては編み物でかわいい小物を作り、孫や友だちにプレゼントして喜ばれています。

flower1 おなかをさすって
千葉県 Mさん (66歳)
  平成12年6月、早期胃癌が見つかり噴門側の部分切除をしました。
  術後、逆流や腹鳴、そして膨満感で、すっきりとしない苦しい毎日が続きました。からだの具合の悪さもなかなか治らず、1年後の検査で残胃癌が見つかり、残りの胃も切除となりました。全摘後も食後の腹鳴と膨満感に悩まされてイライラするばかりでした。なんとか治す方法はないものかと思いながら、おへそを中心にして時計回りにグルグルとおなかをさすってみました。いつのまにか腹鳴や膨満感が治っていました。
  今は、術前と変わらなく何でも食べられ、晩酌には好きなビールも飲んでいます。体重も58kgが50kgまでに減りましたが、現在は56kgまで回復しました(身長161cm)。
  気分転換に、JRの“青春18切符”でローカル線の旅をしながら、わが青春を楽しんでいます。

flower2 漢方薬・西洋薬 アドバイス
  胃手術後の膨満感は、腸の癒着あるいは、腸の運動機能の低下などで起こりますが、なかなか厄介な後遺症のひとつです。
  Tさんの「散歩」は、単に足を丈夫にするというだけでなく、手も振りますし、目や耳で周囲に気配りをするなど、全身運動になっています。当然、腸も動きますので、膨満感にはもってこいの対策です。ただし、一人の散歩はくれぐれも注意してください。りこうな犬か、お宅の方と一緒の散歩を勧めます。
  Mさんの「おなか擦り」は昔から按腹とも呼ばれており、すばらしい工夫です。へその周りにはお血(血の滞り、ふる血ともいう)のツボがあり、温かい手で擦ると腸のほうに刺激が伝わり、腸の動きも良くなって膨満感がとれるものです。何事も経験の中には真理があるものです。膨満感に効く漢方薬のひとつに「大建中湯(だいけんちゅうとう)」があります。
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