アルファ・クラブ掲載記事   アドバイス 昌平クリニック院長 鍋谷欣市

以下はALPHA CLUB367号(1/'13)【私の工夫 それぞれの後遺症対策】に掲載された記事です
ひまわり下 痢
flower1 QOLの維持策
茨城県 Sさん (71歳)
  平成18年12月、毎年受けていた人間ドックで胃癌の告知を受けました。セカンドオピニオンを求めた病院で、19年3月に腹腔鏡下手術で胃と胆のうを全摘し、空腸パウチ間置術を含むルーワイ法で再建しました。癌の告知を受けた際、手術への不安よりも、独立した子どもたちの将来や妻の余生を支える備えなど家族のことが心をよぎりました。
  術後の後遺症は、予想を超えたもので、とりわけ下痢、便秘、腹痛に悩まされ、本当の闘病は退院後から始まることを実感しました。下痢は1ヵ月平均で、2〜3回ありました。特に術後1年間は、ゲップが出ない腹痛に苦しみ、強制的な嘔吐でしのぎました。
  下痢対策として、(1)食事に30分間かける、(2)消化の良くない食べ物、香辛料、酒類を避ける、(3)腹巻で保温する、などの注意をしています。分割食は仕事の関係で実施していません。胃全摘のうえ、食物が十二指腸を通過しない再建法では、消化不良による生理的な下痢はある程度は起こるものと思っています。
  体重は、術前より約7kg減少したままです。ウルソ錠(胆汁分泌促進薬)と、3ヵ月ごとのビタミンB12の筋肉注射を受けていますが、今後は骨粗鬆症対策も必要になります。
  昨年3月に5年生存を迎え、その間、QOL(生活の質)が維持できたのも、妻のおかげと感謝しています。これからは仕事と、家庭菜園や旅行を楽しみつつ、健康寿命を延ばしていきたいと願っています。

flower2 ドクターから一言
  胃全摘後の後遺症としての下痢は、同じような手術をしても、人によってかなり異なるものです。対策の心構えは立派ですし、特によく噛むようにすると消化液もよく出ます。家庭菜園や旅行の趣味は最高だと思います。

flower1 下痢にビオフェルミン
東京都 Jさん (63歳)
  術後、何の前兆もなく突然催す便意に困りました。術後2〜3ヵ月の朝、出勤しようと家を出て50mくらいの所で急におなかがゴロゴロと。慌てて家へ引き返しトイレに駆け込むも、間に合わず、パンツを汚してしまいショックで涙が出ました。以後、慎重に慎重を重ねて出かけます。通勤経路の駅のトイレの場所は全部覚えましたが、困るのは出張時です。トイレのないバスは原則的に利用できず、極力JRを利用しました。
  7年後の現在も、頻度は減りましたが、多いときには月2〜3回、食後1〜2時間後に腹痛と下痢に悩まされます。疲れがたまっていたり、食べ合わせが悪かったり、ちょっと急いで食べたりすると起こります。一過性なので、携行している整腸薬のビオフェルミンで対応しています。主治医に相談しても特に対策はなく、胃切除者の宿命なのでしょうか。

flower2 ドクターから一言
  術後7年たっても下痢に悩まされている様子でお気の毒です。基本的には、小腸から大腸へかけての水分の吸収が悪いということです。ビオフェルミンは優れた整腸薬です。そのほかにも、ロペミンを一度お試しください。また、漢方の啓脾湯も良い薬です。

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