アルファ・クラブ掲載記事   アドバイス 昌平クリニック院長 鍋谷欣市

以下はALPHA CLUB373号(7/'13)【私の工夫 それぞれの後遺症対策】に掲載された記事です
ひまわり 低血糖
flower1 甘い缶コーヒーで対処
東京都 Nさん (49歳)
  平成19年の秋、会社の健康診断で癌が見つかりました。
  翌年1月、がん研有明病院で腹腔鏡手術で胃の噴門側5分の4を摘出しました。早期癌で手術は無事成功したのですが、術後の組織検査で未分化型の癌細胞が見つかりました。予防的措置ということで1年後の21年1月に、腹腔鏡により胃の幽門側をほぼ全部摘出し、ルーワイ法で再建しました。
  胃がほとんどない状態になり、普通の食事ができなくなるのではないかと、不安でしたが、開腹手術でなかったことや胃液を分泌する部分を残してもらったことが幸いしたのか、術後半年ほどで量はともかく、普通に食べられるようになりました。
  しかし、1年ほどは食後の動悸や冷や汗が頻繁に起こりました。この症状が早期ダンピング症候群だと知り、食べ方を工夫してみました。1回に食べる量を少なめにして、1日の食事の回数を増やすことで何とか乗り切りました。
  術後5年が過ぎ、早期ダンピング症候群はほとんど起こらなくなり安心していました。しかし、昼食を終えた2〜3時間後に、脱力感を覚えることが時々あり、後期ダンピング症候群の低血糖症状だとわかりました。この症状は食事の量にかかわらず、不定期に現れるので油断ができません。症状が起こったときは、甘い缶コーヒーを飲んで対処しています。

flower2 ドクターから一言
  後期ダンピング症候群の一つとしての低血糖症状は、術後年月を経てから出ることが多いものです。油断はできませんが、逆に胃を手術したことを自覚するために、時にはこの症状を歓迎している患者さんもいるようです。缶コーヒー以外にも、ちょっと口に入れられるアメ玉を携行するのも良いことです。

flower1 炭水化物を控え、たん白質もとる
埼玉県 Mさん (65歳)
  平成18年3月、胃癌で胃の幽門側5分の4と胆のうを切除しました。
  病院からは術後の後遺症の説明や、食事のとり方などの指導はありませんでした。退院後は自分なりに食べられる物を探しました。
  3ヵ月過ぎた頃、昼食に家族とソーメンを食べました。よく噛んで食べたつもりですが、2〜3時間後に急に気持ちが悪くなり、体もフラフラしてきました。かかりつけのクリニックに行くと、先生は「低血糖症状です。甘い物をとると治ります」といわれ、ブドウ糖を処方してくださいました。帰り際に、「食事はご飯やめん類などの炭水化物だけではなく、卵や肉、魚などのたん白質や野菜も一緒にとると良いです」と丁寧に教えてくださいました。それからは、栄養のバランスと食べ方に気をつけ、低血糖が起こる回数が少なくなりました。

flower2 ドクターから一言
  術後の後遺症や食事指導については、退院の際に医者も患者もお互いに忘れずに語り合うことが必要ですね。実際に経験した人でないと、本当の苦しみは理解しにくいものです。似たような対応の仕方でも、心遣いには差があるものです。自分に合った方法を、とことん会得することです。

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