アルファ・クラブ掲載記事   アドバイス 昌平クリニック院長 鍋谷欣市

以下はALPHA CLUB394号(4/2015)【私の工夫 それぞれの後遺症対策】に掲載された記事です。

ひまわり つかえ
flower1 背中を伸ばして深呼吸

静岡県 Sさん (68歳)

  10年前、胃を全摘しました。、術後はつかえに苦しみました。一度つかえると、そのあとが食べられず、時間がかかりました。
  会報に「歩きながら食べるとつかえなかった」と載っていたのを読み、おなかの傷口をかばい、丸くなった姿勢がつかえる原因なのかと思いました。
  そこで、つかえたときに、背中を伸ばし、両手を上げて、ゆっくり深呼吸してみるとつかえがとれるようになりました。それからは、つかえたときには深呼吸をして、室内をゆっくりと歩き回っています。

flower2 ドクターから一言
  つかえの症状は、寝ながら食べるとつかえたり、吐いたりすることから、食事中の姿勢と関係あることは明らかです。背を伸ばし、深呼吸すると食道から胃腸への通路が伸びて、通りやすくなります。


flower1 ひと口食べて箸を置く
愛知県 Mさん (63歳)

  平成23年4月、胃体部癌で胃を全摘し、ルーワイ法で再建しました。
  術後、最初に詰まったのは病院食のおかゆで、これが詰まるのかと戸惑いました。食べている途中、みぞおち辺りでつかえると、それ以上は食べられません。病院から「食事はひと口、口に入れたら30回は咀嚼し、ゆっくり食べることです」と指導され、その食べ方を守るうちに、徐々に食べられるようになりました。
  医師から「何を食べても良いです」といわれたので、詰まりやすいといわれる海藻やコンニャクなどにも少しずつ挑戦しました。今では定食も一人前を食べられるようになりましたが、ソバとラーメンは詰まりやすく、注意が必要です。ひと口食べて箸を置くことは、ゆっくり食べる習慣になり、つかえ防止には一番効果があると思います。
  術前81kgあった体重は、1年過ぎには54kgまで減りました(身長162cm)。メタボ体型が解消し、標準体重となりました。高かった血圧も下がり、降圧薬は不要になりました。胃全摘後、多々、後遺症がありましたが、良いこともありました。
  また、私のことを気遣ってくれる妻にはとても感謝していますが、気がかりなのは、私の残した物を平らげる妻の健康で、留意したいと思います。

flower2 ドクターから一言
  よく噛んでゆっくり食べるという食事の鉄則を、見事、具体的に表現した食べ方です。その陰には一番気を使われた奥様の姿が見えるようですね。よく噛むべき歯がないという方は、特に少量ずつ、ゆっくり食べることが大事です。


<私の食生活> 不安で食欲不振に 妻の気配りに感謝
兵庫県 Aさん (70歳)

  平成22年2月、胃癌を内視鏡で取りましたが取り切れず、4月に開腹手術で幽門側を3分の2切除しました。
  病院の食事指導を受け、1日5回、少量ずつ食べましたが、においや味覚が以前と異なり、また、ダンピング症候群のストレスで全く食べられなくなりました。1ヵ月で56kgあった体重は38kgに減り、再入院しました。そのとき、出された食事は全部食べることを決心しましたが、何度も吐き大変でした。
  術後5年、時間とともに食事も慣れますが、不安な心の問題は影響します。胃の検診で再検の案内が届くと食欲不振に陥りますが、妻が好物の食事と少しのお酒を出してくれます。癌と闘っていくには家族の支えと不断の用心が大切です。心の健康こそ、自分を見失わずに生きる、術後の処方箋かもしれません。



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