アルファ・クラブ掲載記事   アドバイス 昌平クリニック院長 鍋谷欣市

以下はALPHA CLUB 286号(4/'06)【私の工夫 それぞれの後遺症対策】に掲載された記事です
ひまわり 逆 流
flower1 病は気から
大阪府 Iさん (73歳)
平成13年1月、胃上部に癌が見つかり、胃、胆のう、脾臓を全摘しました。退院後は逆流に悩まされ、逆流防止薬を飲んでも、上半身を高くして寝ても治まらず、とうとう食道炎になりました。先生の指導で、食事は少しずつよく噛み、漢方薬の大建中湯(整腸薬)を服用し、また、体力作りに毎日30分のウォーキングを行い、1ヵ月に2〜3回、近くの山を登りました。術前69kgの体重は56kgに減ったままですが(身長166cm)、逆流は軽減しました。病は気からと考え、残る人生を前向きに楽しく、そして今日まで私を支えてくれた妻に心から感謝しています。

flower2 ドクターから一言
胃上部の手術をすると、逆流を止める筋肉や神経が傷つけられます。術後5年、何事も前向きに挑戦してきたことはすばらしいことです。漢方薬では、茯苓飲、半夏厚朴湯なども有名です。

flower1 日常生活で工夫をする
東京都 Nさん (49歳)
平成13年6月、胃癌で胃を全摘しました。つかえやダンピング症候群などは改善したのですが、逆流には苦労しました。頭を高めにして寝ても、いつの間にか平らになってしまい、逆流を起こすのです。のどや胸の痛みで目が覚め、すぐにうがいをしますが気管に入りやすく、たびたび肺炎も起こしました。いろいろ考えて、昼はリクライニング式の座椅子で上半身を斜めにして休み、夜は微粒子ビーズ入りの柔らかい大きなクッションを使って斜めの体勢を保つようにして寝ました。食事は寝る3時間前までに済ませ、あとは食事の後片付けなど軽い家事をして体を動かすと、消化も良いようです。今はひどい逆流もなくなりました。

flower2 ドクターから一言
もうすぐ術後5年ですね。きめ細かい工夫に感服しました。私の患者さんも、上半身を斜めに、やや横向きの姿勢で寝るほうが、呼吸をするのも安らかで、仰向けになるよりも良いそうです。

flower1 介護用ベッドを使って
埼玉県  Sさん (78歳)
毎年、近所の医院で定期健診を受けていましたが、平成12年12月、胃内視鏡検査で食道癌が発見され、翌年2月、東京女子医科大学で食道を切除。術後、食事量が少ないので、栄養補給のため腸ろうを設置し、経腸栄養を一緒にとりました。半年後、腸ろうを取り外してから、つかえや睡眠中に起きる逆流に悩まされるようになりました。いろいろな薬を試しても効果がなく、逆流するたびに重曹を冷水で飲み、治まるまで1時間ほど起きているので睡眠不足になりました。先生のアドバイスで状態の角度が自由に変えられる介護用ベッドに替え、胃酸抑制薬を併用してからは逆流も少なくなりました。

flower2 ドクターから一言
逆流液には酸性(胃液)とアルカリ性(腸液)があります。Sさんの場合は酸性液でしょう。逆流には、寝る体位が最も大切ですが、食事や便通などの日常生活での心がけや、中和薬の使用などいろいろ試すことで改善が図れます。

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