アルファ・クラブ掲載記事

以下はALPHA CLUB 294号(12/'06)【後遺症Q&A】に掲載された記事です
ひまわり 胃全摘後1年半、食後の「悪心」が悩み
東京都 Sさん (73歳)
  私は悪性リンパ腫で胃を全摘、術後1年半です。現在、一番の悩みは「悪心」です。腹七分目を心がけていますが、食後すぐ吐き気、膨満感で苦しくなりベッドに直行、2時間くらい治りません。酒を飲んで悪酔いしたような状態が毎日続いています。漢方で治したいと思いますが、良い薬はないでしょうか。会員の方で悪心を克服された経験をお持ちの方は、ぜひお聞かせください。

経験者のアドバイス

flower2 食事量を減らして、もっとゆっくり噛んでみては
埼玉県 Iさん (82歳)
  10月号の本欄に載ったS氏の「悪心の悩み」に、私の経験からアドバイスします。役に立てば幸いです。
  S氏の訴えている悪心とは、胃切除後の食事中や食後に襲われるダンピング症候群や、つかえなどの状態ではないかと考えます。
  S氏は、胃全摘後まだ1年半ですから、食事の量を腹七分目に減らしても、咀しゃく回数が十分ではなく、飲み込みが早すぎるのではないでしょうか。それで、食べたものが食道から小腸へ行くときに吐き気、膨満感に襲われるのだと考えます。
  そういう私は、胃全摘後15年目ですが、今も毎食、食べる量を健常者の半分程度に抑えて、少量を50回ほど噛み、時間をかけています。特に術前は噛まずに胃にかき込んでいたそばやラーメンなどのめん類でも、よく噛んで少しずつ飲み込んでいます。それでも、食後の倦怠感や睡魔に襲われますが、口が胃の代わりに消化しているのだと諦観しています。
  ただし、食べる量が激減しているからやせてはいますが、日常生活に問題があるわけではありません。
  また、食前はウォーキングなどの適当な運動が、小腸や大腸の働きを助ける効果があるようです。
  慣れるまでは忍耐が必要ですが、諦めずに努力してみてください。

flower2 梅酢が症状を解消
千葉県 Kさん (73歳)
  術後10年になる私ですが、やはり同じような悩みで苦労いたしました。
  いろいろ試行錯誤の結果、私の体には梅酢が一番効くことがわかりました。梅酢といっても市販の物は塩分が強すぎて良くないので、減塩(10%の塩分)の手作りです。
  1年分の梅酢をとるために、毎年20kgの梅干を作ります。シソの薬効も考え、白梅酢からピンク色の梅酢にして、目でも楽しんでおります。
  おかげで、食事中や食後すぐ、水または白湯でうすめて、一口ビールのグラス1杯ほど飲むと、重い悪阻のような症状にならずにすみます。うっかり症状が出ても、すぐ飲めばウソのように治っています。胃酸も出ない体には、食中毒の予防にもなるかと思います。
  昔、子育て時代、下痢をした子に飲ませておりましたが、先人の知恵には感謝するばかりです。

顧問医のアドバイス 
flower2 漢方は、茯苓飲か二陳湯を
昌平クリニック院長  鍋谷 欣市
  食後すぐの吐き気、膨満感は、吻合部の狭窄や、腸管の癒着による場合もありますので、定期の健診を受けてください。
  いずれにしても、まず、1日の食事量を5〜6回に分割し、1回の食事量を減らすことです。そして、Iさんの体験のように、よく噛んで、少量ずつ飲み込むことです。胃全摘後では、アルカリ性消化液による逆流性食道炎も起こりやすいので、Kさんの梅酢も良い対策です。
  漢方では、その人の体力、症状をよく診察して処方しますが、あなたの場合は、中間証から虚証と考えられます。漢方薬としては、茯苓飲(ぶくりょういん)、二陳湯(にちんとう)の2つを勧めます。どちらも、吐き気、膨満感があり、胃部に振水音を認める人が処方の対象となります。さらに、茯苓飲では、しばしば乏尿を認める人、二陳湯ではめまい、どうきを伴う人に処方されます。のどのつかえ感がある場合は、茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)が良いでしょう。
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