アルファ・クラブ掲載記事

以下はALPHA CLUB 300号(6/'07)【あるふぁ随筆】に掲載された記事です
ひまわり 梅田さんへの300号
昌平クリニック院長  鍋谷 欣市
  『アルファ・クラブ』が本号で300号を迎えました。昭和57年7月の創刊ですから、この6月で25年を経過したことになります。表題に謳う合言葉と宣言をモットーとした、独特のスタンスで構成された会誌といえましょう。
  いうまでもなく、本会の創立者である故梅田幸雄前世話人代表の驚異的なエネルギーによる発刊であり、また、そのエネルギーを継承して、本会を支えてこられた多くの会員、医療関係者、編集を担当した事務局の人など、たくさんの方々の支援と努力の賜物で、300号を迎えることができたのです。現在、個人会員は4500名、病院会員は3600施設を数えると聞きます。ともに喜びを分かち合いたいと思います。
  惜しむらくは、本会のために一身を捧げられた梅田さんが、この300号を手にとってご覧になれないという、人生の寂しさを禁じえません。わずか、1周忌を過ぎたばかりなのです。

  逝く者は斯くの如きか昼夜を舎かずと  (孔子)

  しかも、梅田さんは生前にご自身で戒名を決められ、公のお別れの会はやらないようにとの遺言をされたとのこと、その清廉潔白なお人柄には頭の下がる思いであり、ここに300号を捧げてご冥福をお祈りします。
  さて、この会のすばらしいことは、どなたでも自由に入会することができるし、自由に語り合うことができる会なのです。いささかでも自己の体験を語ることは、すべて真実の声であり、これら多くの真実をまとめることによって、術後の後遺症を克服する医学の真理が見出され、健康への道標が立てられるのです。私は何事においても、経験の中には真理があると信じています。また、これらの経験はそっくりそのまま試しても良いのですが、人によっては反応や効果の異なる場合もあり、きめ細かいオーダーメード医療が必要となります。
  近年は、地球環境の変化も加わって、予測もつかない天変地異の様相さえうかがわれるようになってきました。人においても、ストレスや細菌に対する抵抗力が弱くなり、植物や花粉に対するアレルギー反応が高まるなど、体質的な変化が目立ってきました。癌に対する外科手術も時代とともに変遷しており、術後の治療対策も次第に変化しています。当然、胃切除後の後遺症、養生学が変わっていくことでしょう。医師も患者も、ともに携えて学習し、研究しなければいけない所以です。本紙に期待される役割は大きく、時代とともに進歩していくことが望まれます。

  ミネルバの梟は日暮れに飛び立つ  (ヘーゲル)

  この言葉から梟を書籍『胃を切った人シリーズ』のマスコットにされた梅田さんは、自らの胃切除体験を通して、ネバー・ギブ・アップの信念を掲げておられました。特に癌年齢を迎えつつある中高年の人たちに、万一、癌になったとしても夢のある生き方を示されたのです。

  朝の来ない夜はない  (吉川栄治)


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