アルファ・クラブ掲載記事   アドバイス 昌平クリニック院長 鍋谷欣市

以下はALPHA CLUB 262号(4/'04)【私の工夫 それぞれの後遺症対策】に掲載された記事です
ひまわり 食 欲 不 振
flower1 口と体を動かして
神奈川県 Kさん (69歳)
  平成12年9月、胃癌で胃を全摘しました。術後、食欲や空腹感が全く感じられず、無理に食べると気分が悪くなり、下痢や低血糖が起き、めまい、脱力感を感じました。病院での食事指導を基に、妻が工夫を凝らして作ってくれるのですが、食べられず気ばかりが焦る日が続きました。体重も術前は64kgでしたが、15kgも減り、49kgになりました(身長166cm)。
  これではいけないと思い、散歩や庭仕事でできるだけ体を動かし、野菜、肉、魚と何でもよく噛んで食べるようにしました。ヨーグルト、トマトジュース、ノニジュース、ビール酵母などもとりました。
  まだ便秘や逆流は起こりますが、他の後遺症は軽くなりました。食事の量は術前の2分の1しかとれませんが、少しずつ食欲は回復しています。希望は60kgの体重、そして、コップ1杯のビールをおいしく飲めるようになりたいと願っています。

flower1 心に余裕を持って
東京都 Yさん (82歳)
  平成10年7月、76歳のとき、市の定期健診で早期胃癌が発見され、幽門側3分の2を切除しました。術後は極度の食欲不振で何も食べられず、また、ひどい下痢が続き、精神的に暗い日々を過ごしました。体重も52kgが、45kgに減りました(身長154cm)。思い切って精神安定剤をもらい服用しました。小康状態が続いたので、それからは少量のアルコールも飲み始め、病気のことを考えずに生活を楽しむように努力しました。
  20年前に子宮癌の手術でリンパ節もとり、腹部に放射線をかけた影響で、胃切除後に放射線性腸炎となり、治療の方法はないといわれました。体力、免疫力の強化を自分なりに考え、腸の吸収力に見合った食事や水分を少量ずつとり、旬の野菜や新鮮な海産物もとりいれました。ストレス解消に体を動かし、今は、体重も元に戻り元気で過ごしています。

flower2 漢方薬・西洋薬 アドバイス
  胃手術後の食欲不振は、胃そのものの働きが低下して起こりますが、気力、気分も大いに関係しています。
  Kさんの口と体を動かすこと、Yさんの心の余裕は、食欲不振を改善する原則といえましょう。何事にも原則と応用があるもので、応用は人によって異なる工夫です。
  私は胃手術後でも、自分の好物を食べることを勧めます。アルコール摂取でも、Yさんのように少量であれば、たいていは大丈夫です。
  このほか、食欲は五感に関係深く、料理が見た目に美しく、香りが良く、歯ざわり、味も良く、さらに会話があれば最高です。
  食欲不振を改善する漢方薬では、六君子湯(りっくんしとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)などがありますが、それぞれの適応があります。野菜不足になりやすいとき、カゴメのオールベジという野菜ジュースなども、手軽に野菜の栄養分がとれる優れ物です。
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