アルファ・クラブ掲載記事   アドバイス 昌平クリニック院長 鍋谷欣市

以下は、ALPHA CLUB 321号(3/'09)【私の工夫 それぞれの後遺症対策】に掲載された記事です
ひまわり 嗜 好 の 変 化
flower1 食べられる物を探す
栃木県 Sさん (70歳)
  胃を全摘してから3年8ヵ月になります。元来、好き嫌いがなく、何でも食べていたのですが、術後は味覚が変わり食べられなくなりました。まず、何が食べられるのか、何を食べてよいのか、それを探すことから始まりました。
  生物はどうか、油物は、焼き物は、煮た物はと、毎日、試行錯誤でした。そして、少量ずつ、ゆっくりと食べました。おかげで、意外と早く自分に合う食べ物を見つけることができました。これも時間の経過とともに体が順応したのでしょう。
  よく噛むことは基本中の基本と思い、今でも守っていますが、なかなかうまくいきません。あまりに空腹な状態で食べると、つい、早食いになってしまいます。途端につかえるのか苦しくなり、食事を中断することもあります。朝食をとった後は、いつも眠くなるので、食休みをかねて15分ほどじっとしています。
  若いときから酒が好きでした。特に冬場の燗酒のうまさは格別です。この病気になったのも飲み過ぎが原因だと思っています。自業自得です。また、酒が原因で亡くなられた元同僚を見て、自分への戒めとし、今は飲む回数と量を抑えています。
  幸いにも術後は順調に回復し、手術をしていただいた先生方に感謝しています。孫の成長を生きがいに、また、仏教への信仰を精神的な支えとして生きたいと思います。人は心の支えとなるものがあってこそ、初めて生きる喜びを感じることができます。そして生かされたということに自分の存在価値を知るのです。

flower2 ドクターから一言
  術後の味覚の変化は、個人差があります。Sさんの、自分に合う食べ物探しの努力は、立派な成果を得ましたね。お酒も適量を守って飲むなら、百薬の長となるはずです。

flower1 味覚・臭覚の異常は治らず
神奈川県 Hさん (72歳)
  平成16年8月、68歳のときに胃、胆のうを全摘しました。術後5ヵ月で、体重は11kgも減りましたが、最近は、やっと少し増えました。逆流、胸やけ、下痢、疲労感、やせなどの後遺症で悩みましたが、3年を過ぎた頃から少しは楽になりました。
  しかし、嗜好の変化は今でも続き、味覚や臭覚の異常で悩んでいます。食事の支度をするにも、においや味をあまり感じないので困っています。何とか改善できないかと、いろいろ試してみましたが、だめでした。空腹感もありません。特にパン類は全く食べられません。
  いつまでこの状態が続くのかと、悩みながら毎日を過ごしています。抗癌剤を服用していた副作用なのかとも思いますが、何か良い改善策はないでしょうか。

flower2 ドクターから一言
  Hさんの味覚の異常には、手術や抗癌剤、ストレスなどがミックスしているようです。薬剤による障害が多いので、一度、亜鉛内服療法を試してみてください。食物をのせる舌は、甘味は舌先、塩味は舌縁前方、酸味は舌縁後方と部位によって感じます。食べ物を口に入れたら、味の感じやすい部位を選んで食べるのも、感覚をとり戻す方法です。

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