アルファ・クラブ掲載記事   アドバイス 昌平クリニック院長 鍋谷欣市

以下は、ALPHA CLUB 323号(5/'09)【私の工夫 それぞれの後遺症対策】に掲載された記事です
ひまわり 食 欲 不 振
flower1 亜鉛のサプリメントで改善
大阪府  Oさん (46歳)
  6年前に乳癌で手術をしましたが、4年前、今度はスキルス癌で胃の幽門側を4分の3切除しました。乳癌の手術のときと違い、胃を手術した後の体には、思いもよらぬ大きな変化が起こりました。
  術後の後遺症だけではなく、抗癌剤ティーエスワンの副作用も重なり、味覚障害が起こり、食欲不振になりました。何を食べても味がわからず、そのうえ、においにも敏感になり、ご飯や煮物の煮えるにおい、だし汁などのにおいが嫌になりました。水さえも飲みづらく、水分を補給するためにスイカやリンゴ、ミカンなどの季節の果物を食べました。特に食欲のないときは、夏はソーメン、冬は野菜などを水炊き風に軟らかく煮込み、あっさりした物ばかり食べました。
  味覚障害の改善に耳鼻咽喉科の受診も勧められましたが、いずれは食の好みも食欲も戻るだろうと考えていました。焦る必要はないと思い、市販の亜鉛のサプリメントを飲んでいるうちに、いつの間にか味覚障害も改善し、食欲も出てきました。
  しかし、最近、亜イレウスを起こし、入院しました。絶食から流動食、そしておかゆへと食事が変わるに従い、お米の触感や口から食べられることの幸せを再確認しました。今は、よく噛むことや、食べ過ぎないように気をつけることで、イレウスの再発防止に努めています。

flower2 ドクターから一言
  食欲不振で食べられない方の中には、味覚障害と重複されている方も多く、全体の15%は亜鉛不足によるものといわれています。Oさんの場合も、亜鉛不足が大きな原因であったのでしょう。イレウスの予防には、食事はゆっくりと、よく噛むことが大事ですね。

flower1 1時間のウォーキングで良好
鳥取県 Yさん (70歳)

  平成16年2月、胃を全摘しました。術後の後遺症や食事のとり方については、あまり説明がありませんでしたので、何を食べたら良いのかわかりませんでした。少しでも食べると吐き気、嘔吐、腹痛、下痢に襲われるのでだんだんと食欲もなくなり、術後半年で体重が15kgも減少してしまいました。食べなくてはと焦る気持ちが先になり、よけいに食べられませんでした。
  かかりつけの先生から「軽い運動でも良いから、体を動かしたほうが良いですよ」とアドバイスを受け、毎日、1時間を目標にしてウォーキングを始めました。最初の頃は20分ほど歩くのがやっとでしたが、少しずつ歩く時間も長くなり、食欲も出てきました。
  歩き始めてから5ヵ月ほど過ぎた頃、食後の不快な症状が薄らぎ、食べられるようになりました。まだ、食べる量は多くはありませんが、少しは体力もついてきたかなと自分では思っています。

flower2 ドクターから一言
  食欲は、すべての生物が持っている本能欲の一つです。消費したエネルギーを補給しなければ、生きられないという反面、エネルギーを消費しなければ食欲も起こりません。エネルギーを消費する運動は、歩くことが基本となります。

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