アルファ・クラブ掲載記事   アドバイス 昌平クリニック院長 鍋谷欣市

以下はALPHA CLUB 325号(7/'09)【私の工夫 それぞれの後遺症対策】に掲載された記事です
ひまわり つ か え
flower1 基本は、よく噛むこと
大阪府 Mさん (74歳)
  昭和16年4月、胃の噴門部に癌が見つかり、胃を全摘した。術後は、食事のたびにダンピング症状に悩まされた。特につかえてしまうと、しゃっくりが出始め、とても苦しくなる。トイレに行き、嘔吐すると治まるのだが、毎食、繰り返す。
  そのうちに、原因は食事の内容と食べ方にあるとわかった。一般的に軟らかい食材を軟らかく煮た料理が良いといわれるが、私の場合は豆腐やジャガイモ、カボチャなどを軟らかくした料理はつかえた。しかし、片栗粉でとろみをつけた物や、納豆などはつかえずに食べられた。ただ、自分の好きな物やおいしい物は、口の中でよく噛まずに飲み込んでしまうために、やっぱりつかえを起こした。
  要するに、食べ物を口に入れたら、よく噛んで、自分の唾液と食べた物をよく混ぜ合わせ、少しずつ飲み込むことが大事だとつくづく思った。そのために、私が食べる物には味付けを少し濃くしてもらった。30〜60回とたくさん噛んでも味が感じられるからだ。今では、もちも食べられるようになった。焼いたもちに、きな粉やしょうゆをつけて、海苔を巻いて食べる。もちろんよく噛むことは忘れない。
  1回の食事量は、胃切除前に比べ、半分弱しか食べられない。1日5〜6回食にしているが、そのたびに、いろいろな食材と調理方法、味付けを考え、食事の準備をする妻は毎日、さぞ大変だろうと思う。現在、5年が過ぎたが、転移もなく元気に過ごしている。日々、無事に過ごすことができるのも妻の協力があってこそと感謝している。

flower2 ドクターから一言
  つかえを起こすには、いくつかの原因がありますが、よく噛むことはつかえの対策の基本です。その次には、個人差による工夫が望まれます。飲食する物が冷たいと食道が痙れんを起こし、つかえることもあり、最初の1口は大切です。何といっても、多種類の食材と調理方法を考えて作ってくれる奥様の手料理こそ、最高の薬です。

flower1 両手を上げ、深呼吸
宮城県 Tさん (48歳)
  平成14年2月、胃を全摘しました。術後は食事中に起こるつかえに、とても苦しみました。毎食、1口か2口食べるとつかえ、食べられなくなるのです。主治医に聞いても「よく噛んで」といわれるだけです。よく噛んでもつかえは治まらず、食欲は減退し、体重も激減しました。
  そんなとき、会報につかえの対策が載っていました。両手を上げて胸を反らすようにしてゆっくり深呼吸するのが良いとあったので、早速やってみると、少し楽になりました。それからは、つかえが起きたときは必ず実行していますが、最近はあまりつかえなくなりました。

flower2 ドクターから一言
  手術後間もないつかえは、おそらく浮腫によるものでしょう。両手を上げての深呼吸は、しゃっくりなどを起こす横隔膜神経の緊張を除き、手術したつなぎ目を少しでも伸ばす工夫の一つです。もう術後7年ですから、つかえも治まり、体力もついてくることでしょう。

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