アルファ・クラブ掲載記事   アドバイス 昌平クリニック院長 鍋谷欣市

以下は、ALPHA CLUB 332号(2/'10)【私の工夫 それぞれの後遺症対策】に掲載された記事です
ひまわり 嗜 好 の 変 化
flower1 薬の効果か、偏食が改善
東京都 Yさん (77歳)
  平成16年11月、区の定期検診で胃癌が見つかり、胃の幽門側を4分の3切除しました。術後、後遺症などはあまり出なかったのですが、嗜好が変わり苦労しました。牛乳、ヨーグルト、食パン、野菜サラダ、卵などが食べにくくなり、何とか食べようとしたのですが、むりでした。
  偏食がなくなるように、先生にいろいろな薬を処方してもらいました。1〜2年過ぎてから処方してもらったデパスとガスモチンを飲むようになってから、偏食が減ってきたと思います。現在はほとんどの物が食べられるようになりました。今も朝晩、ガスモチンとデパスを一錠ずつ服用しているのですが、このまま続けたほうが良いのか迷っています。
  朝はパン類、昼はめん類、夜はご飯の3回食です。朝食後、気持ちが悪くなることが多かったのですが、横になってひと寝入りすれば治まりました。食欲はあるのですが、術後16kgもやせた体重が元に戻らず、体力がつかないのが困りものです。体力をつけるため、ウォーキングをするようにしていますが、なかなか思うようにはいきません。

flower2 ドクターから一言
  ガスモチンは胃機能調整薬ですから続けても良いですが、デパスは抗不安薬で依存性をきたすため、少しずつ減らしていき、やめるのが良いでしょう。体重は、安定していれば必ずしも元通りに戻らなくても良いと思います。体力をつけるためでしたら、良い漢方薬の一つに十全大補湯もあります。

flower1 焦らないことが良薬
神奈川県 Oさん (62歳)
  平成17年6月、早期胃癌で腹腔鏡補助下幽門側胃切除術(LADG)で胃の3分の2を取り、同時に胆のうも全摘しました。
  術後1ヵ月過ぎに会社に復帰し、順調に回復しました。ただ、以前は天ぷらなどの揚げ物が好物でしたが、術後は油のにおいに敏感になり、嗅ぐだけで気持ちが悪くなり、しばらくは揚げ物を避けていました。そのうちに徐々に体力もつき、食欲も出てきて、天ぷらも少量なら食べられるようになりました。しかし、時々食欲に負けて、つい早食いして量も多くとったりすると、必ず腹鳴、腹痛、そして下痢という3段階の魔の後遺症方程式が続き、苦労しました。体験しないとわからない、本当に苦しいものです。
  会報でご指導くださる諸先生方や会員の皆様のアドバイスのとおり、特効薬は、やはり時間をかけながらゆっくり、少量をよく噛むことと実感した次第です。胃の3分の1は残っていますが、元の食生活には戻れません。後遺症の体験を肝に銘じて胃は「胃無い」と納得させながら、今日もまた、妻の上手な手料理に感謝しつつ、楽しくゆったりとした気分で少量食事をいただいています。

flower2 ドクターから一言
  嗜好の変化を調べますと、人それぞれに多少異なりますが、牛乳と油物が食べられなくなる方が一番多いようです。嗜好には、味覚のほかに嗅覚、視覚など、多くの因子が関係します。体験の中には真理があることを悟って、奥様の手料理を味わうのが至上の良薬でしょう。

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