アルファ・クラブ掲載記事   アドバイス 昌平クリニック院長 鍋谷欣市

以下は、ALPHA CLUB 338号(8/'10)【私の工夫 それぞれの後遺症対策】に掲載された記事です
ひまわり 嗜 好 の 変 化
flower1 リンゴと牛乳の取り方を工夫
茨城県 Aさん (75歳)
  平成4年8月、早期胃癌で胃の幽門側を3分の2切除してから、今年で18年になります。術後は、幸いにも食べ物の好き嫌いも起こらずに済み、喜んでおりました。
  ところが、数年後、リンゴを食べると、口ではおいしいと思うのに、数十分もすると、腸から残胃の方へ押し戻されてくるような感じがして、長時間、気持ちが悪い状態が続くようになりました。そこで、物は試しとリンゴをすりおろして食べてみました。すると、時間がたっても気持ち悪くならないのです。それからは、リンゴは必ず、おろし金でおろして食べています。
  もう一つは、一昨年あたりから、牛乳を飲むと同じように気持ちが悪い症状が現れるようになりました。しかし、これもコーヒー牛乳にして飲むと気持ちが悪くならず、全く問題ないのです。
  果物ではリンゴだけが、飲み物では牛乳だけが気持ち悪くなるのです。どうしてこうなるのか、そのメカニズムがわからず、首を傾げています。ただ、食べ方を工夫することでしのげる程度ですので、今のところ、日常生活に支障はありません。それにしても、不思議だと思うばかりです。

flower2 ドクターから一言
  すりおろしたリンゴでは気持ち悪くならないのは、リンゴに含まれるペクチンの作用が速やかになり、食べ物のゲル化、保水化、粘性化を調節するためでしょう。牛乳は嗜好変化の多い飲み物ですが、症状がなくなったのは、コーヒー内のカフェインが牛乳の脂肪燃焼を早めるためかと考えられます。いずれもすばらしい工夫ですね。

flower1 嗜好も体重も元に戻らず
千葉県 Tさん (58歳)
  平成14年2月、胃癌で胃の幽門側を4分の3と胆のうを切除しました。術後は少し食べただけでも腹痛、下痢、膨満感など、ダンピング症状が起こり悩まされました。
  術後半年過ぎ、少しは落ち着いてきて食べられるようになりましたが、食べ物の好みが変わりました。
  私はどちらかというと、パンはあまり好きではなく、いつもご飯にしていました。しかし、術後はご飯よりもパンのほうが食べやすく、朝食はパンにしました。また、お酒を飲むほうでお菓子などの甘い物は苦手でしたが、今はお酒の量も減り、反対に甘い物を食べるようになりました。ほかにも、牛乳が飲めなくなり、チーズやヨーグルトを食べています。
  術後8年、嗜好は変わったままです。家族からは「お酒の量が少ないほうが体に良いから」といわれています。体重は元に戻りませんが、少しは増えてきました。今はあまり体重のことは気にしないようにしています。毎日、ウォーキングを続けて、体力をつけています。

flower2 ドクターから一言
  同じ食物でありながら、好みが変わってくるのは、健康を保つための受け入れ態勢が変わってきた証拠の一つです。ただ、術後8年もたっていますから、嗜好に関係するといわれる血液中の亜鉛量を一度測定してみるのも良いことです。あとは、ふだんから気にし過ぎないことですね。

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