アルファ・クラブ掲載記事   アドバイス 昌平クリニック院長 鍋谷欣市

以下はALPHA CLUB 340号(10/'10)【私の工夫 それぞれの後遺症対策】に掲載された記事です
ひまわり つ か え
flower1 バナナは、つかえない
千葉県 Mさん (66歳)
  平成10年、自覚症状もなかったのですが、50歳も過ぎたことだしと、軽い気持ちで胃内視鏡検査を受けたところ、胃悪性リンパ腫が見つかり、その年の10月、胃を全摘しました。
  術前はやせの大食いといわれるほどでしたが、術後12年過ぎた今でも、つかえの後遺症は克服できません。グルメの旅やフルコースなどの外食は敬遠してしまいます。
  胃切除者の食事は、ゆっくりよく噛んで、1日5〜6回に分けて食べるのが基本ですが、私はつかえが強く、苦しくて食べられませんでした。最初の1〜2年は、野菜、魚、何でもミキサーにかけて食べました。
  3年が過ぎる頃から、食事のとり方が自分なりにわかってきました。軟らかい物から食べ始め、水分をとりながら、最初の数口(5分くらい)は特によく噛み、ゆっくりと食道空腸吻合部を通過するのを意識しながら食べ始めると、通過障害が少なくなりました。つかえたら無理をしないで休み、治まらないときは吐いてしまいます。
  友人と談笑しながら食事をすると、知らずと摂取量が増えるようなので、ランチなどは積極的に誘っていただいています。食事の仕度をしながら味見と立食、これも良いです。
  不思議なことに、バナナはつかえたことがありません。命の恩人と思い、何処へでも持ち歩きます。
  今でも食事が楽しいとか、待ち遠しいと思うことはほとんどありませんが、小さなおにぎりとバナナ持参で、マージャン、ゴルフと楽しい日々を送っています。試行錯誤の12年間でしたが、生きてきた証と思い、振り返ってみました。
 
  flower2 ドクターから一言
  バナナは、人類最古の栽培植物ともいわれており、消化が良く、吸収の早い食物であることから、術後の回復のためには、すぐれた食材の一つといえるでしょう。バナナは可食部100g中に22%の糖質を含み、バナナ1本で食パン1枚のカロリーが得られます。最近は、TNF(腫瘍壊死因子)の産生が高いことも知られています。  

flower1 ウォーキングでつかえが軽減
茨城県 Kさん (59歳)
  平成14年3月、胃癌で胃を全摘しました。術後はひと口食べるだけでもつかえて苦しくなり、ほとんど食べられず、体重は激減し、体力もなくなりました。食べたくても食べられない苦しみは家族にもわかってもらえず、つらかったです。
  3ヵ月目の検診で病院に行くと、同室で胃の切除をされた方と会いました。とてもお元気なので話を聞くと、術後、毎日、歩いていると聞き、私も真似をして歩き始めました。
  それから2ヵ月後、いつの間にか、つかえが軽くなり、食べられるようになりました。体力もつき、今は毎日、1時間以上歩いています。

flower2 ドクターから一言
  ウォーキングでつかえが軽くなったのは、全身の精神的、肉体的機能が正常に活動し、ちょうど吻合部(手術のつなぎ目)の浮腫もとれてきたからだと思います。手術直後のつかえは、手術にもよることがあり、外科医のたゆまざる工夫と努力が望まれます。

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