アルファ・クラブ掲載記事   アドバイス 昌平クリニック院長 鍋谷欣市

以下は、ALPHA CLUB 345号(3/'11)【私の工夫 それぞれの後遺症対策】に掲載された記事です
ひまわり 嗜 好 の 変 化
flower1 少しずつとる努力が実る
千葉県 Nさん (63歳)
  平成18年2月、胃癌で胃の幽門側3分の2を摘出し、ルーワイ法で再建しました。術後は食後のどうきとめまいがたいへん不快でした。
  それまでの私は偏食せず、何でもおいしく食べておりましたが、術後間もなく、嗜好が大きく変わったことに気づきました。
  まず、大好きだった牛乳は、飲むとムカッとして気持ちが悪くなり、ひと口も飲めなくなりました。人の味覚は一生変わらないと信じ、術後に起こる嗜好の変化については何の知識もなかったので、とてもショックを受けました。
  同じ乳製品でもヨーグルトやチーズなどは何の抵抗もなく食べられましたが、牛乳が飲めるようになるまでには2年以上かかりました。ただ、飲めるようになっても膨満感が強いのでコップ半分くらいです。
  嫌いになったもう1つの食べ物は、これもまた大好物だった卵です。卵さえあれば、何はなくてもご飯が食べられましたが、術後はどんなに調理法を工夫してもだめでした。しかし、朝食は卵がないと寂しいので、2年過ぎた頃から、生卵をご飯にかけて少しずつ食べるように努力し、今では普通に食べられるようになりました。肉や野菜などは術前と変わらず食べられましたが、魚はなぜかしばらく苦手になりました。
  逆に、好んで食べるようになった物の筆頭はバナナでした。ほかには、おにぎり、すし、ケーキ、パンなどです。
  手術から5年になりますが、今でもダンピング症状には時々苦しんでいます。しかし、嗜好はすべて元に戻りました。

flower2 ドクターから一言
  術後の後遺症の中でも、最近の6〜7年の患者さんの症状を見ると、嗜好の変化で最も嫌いになった物に牛乳、その次に脂っこい物、そして酒類が挙げられます。反対に好きになった物は、チーズ、ヨーグルト、豆腐、野菜などです。Nさんには、ダイイピング症状もあるとのこと、マイペースでゆっくりと噛んで食べるのが一番良いでしょう。

flower1 今でも臭いが鼻につく
石川県 Mさん (58歳)
  平成14年2月、胃の幽門側を3分の2を切除しました。術後の後遺症はひと通り経験しましたが、食べ物の好みも変わりました。
  牛乳はもちろん、魚の臭いにも気持ちが悪くなります。また、インスタントの食品や調味料も、臭いだけでもムカムカします。栄養を考えて、チーズやヨーグルト、豆腐などの大豆製品を食べ、できるだけ手作りに努めています。
  術後9年ですが、いまだに牛乳は飲めません。魚類は干物だと良いのですが、なま魚や煮魚などの臭いはだめです。魚屋さんの前を通るときは息を止めて早足で歩きます。

flower2 ドクターから一言
  嗜好の変化は、味覚、嗅覚、さらに視覚も関係し、その人の感受性も影響します。チーズやヨーグルトは、牛乳を乳酸醗酵させた物で、消化吸収されやすく、乳糖不耐症も起こしにくいです。豆腐は消化の良いたん白と脂肪が多く、畑の肉とも呼ばれています。

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