アルファ・クラブ掲載記事   アドバイス 昌平クリニック院長 鍋谷欣市

以下はALPHA CLUB 353号(11/'11)【私の工夫 それぞれの後遺症対策】に掲載された記事です
ひまわり 下 痢
flower1 月日とともに自然回復
愛媛県 Kさん (60歳)
  平成18年5月、胃癌で胃の幽門側を3分の2切除し、ビルロートI法で再建しました。術後に後遺症があることは聞いていましたが、これほどの苦しみが待っていようとは思ってもいませんでした。
  特に入院中から飲食後に起こる下痢には悩まされ、毎日信じられないほど体重が減っていくことに怖くなりました。術前、56kgあった体重は43kgまで落ち(身長158cm)、体力も精神的にも落ち込み、鏡に映る別人のような自分の姿に涙したことも再三ありました。
  下痢を止めるのに良いと思われる薬、ヨーグルトなど、さまざまな物を試しましたが、私には効果が現れず、あきらめの気持ちで毎日を過ごしていました。もう二度と太ることはないだろうと思っていました。
  しかし、月日がたつと、少しずつ下痢の回数が減り始め、3年を過ぎる頃には1週間に1〜2度程度になり、以前のように何日も続くことはほとんどなくなりました。現在、体重は51kgまで回復しました。会報に、徐々に腸が胃の役割をしてくれるようになると書いてあったことを思い出しました。
  今でも体調の悪い日が多いですが、手術間もない頃の苦しみを思うと、ありがたいことと思っています。一日一日を大切に生きなければと思っています。

flower2 ドクターから一言
  下痢は腸内での水分吸収が悪いために起こるのですが、慢性の下痢と体重減少が続く病態を、吸収不良症候群と呼ぶことがあります。脂肪の吸収が悪いために、便が水に浮くようになります。Kさんもこの病態だったのかはわかりませんが、いずれにしても薬に頼らずに自然に順応したことは理想的な回復です。不屈の精神があったからでしょう。

flower1 ロペミンが効きました
東京都 Tさん (48歳)
  平成19年3月、胃癌で胃を全摘しました。食後は、ダンピング症状のほかに、下痢にも悩まされました。胃がないのでひっきりなしに便意が襲ってきます。
  昼食後ならまだ良いのですが、朝食のあとに便意が襲ってくると困ります。通勤で電車に乗っていることが多く、びろうな話ですが、漏らしてしまうこともたびたびありました。こうなると、体調が悪くなるばかりか、男のプライドのようなものまでずたずたにされます。
  主治医に「何とかならないか」と相談したところ、ロペミンという下痢止めの薬を処方してくださいました。この薬は、普通の人が飲むと逆に便秘になるくらい強力な薬だそうですが、私には合っていたらしく、それからは下痢がほとんど解消されました。今は安心して電車にも乗ることができます。

flower2 ドクターから一言
  人間の体には薬との相性というものがあるようです。Tさんはロペミンという腸管運動を抑制する作用の薬に、よく順応したようです。しかし、同じ人でもそのときの体調によって、よく効く場合と、あまり効かない場合がありますので、その時々の体調をよく記録しておいてください。

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