アルファ・クラブ掲載記事   アドバイス 昌平クリニック院長 鍋谷欣市

以下はALPHA CLUB 357号(3/'2012)【私の工夫 それぞれの後遺症対策】に掲載された記事です
ひまわり つ か え
flower1 一人で黙々と食べる
東京都 Jさん (63歳)
  平成16年12月、胃癌で胃の幽門側を5分の4切除しました。術後は食べ方に苦労しました。少しでも急いで食べるとつかえて苦しくなるのです。とにかく消化の良い物を選び、煮た白身魚を中心に、1時間以上かけてゆっくりと、おっかなびっくり食べていました。ヒレ肉や鶏のササミなどは良いのですが、揚げ物や脂っこい物、なま物は体が受けつけず、半年以上は避けていました。
  復職後、半年間は弁当持参でした。時間をかけてゆっくり食べられるし、材料もわかっているので安心できました。家内は、アルファ・クラブの会報や書籍の情報などを参考に献立を考えてくれていました。
  お昼の外食はとても怖くてできませんでしたが、半年後から徐々に試みました。
  今でもロースカツ、ウナギ、すき焼き、天どん、ラーメン、オムライスなどの脂っこい物は不可です。カステラは十二指腸付近で膨張するのでつかえます。
  食べ方にも注意が必要です。食事中の会話は楽しめません。話しかけられて答えようとすると、口の中の物を飲み込んでしまうからです。結果として食べ急ぐことになり、つかえ、ダンピング症状の原因になります。ゆっくりと、モゴモゴと、よく噛んで余計な会話はせずに、一人で黙々と食べることが肝要です。味気ないですが、やむを得ません。
  また、不幸にしてつかえやダンピング症状を起こしたら、休むしか方法はありません。30〜60分くらい休むと回復します。ちょっとひと眠りできれば効果的ですね。

flower2 ドクターから一言
  胃の5分の4を切除とのことですが、胃と腸の吻合法には、ビルロートI法、ビルロートII法などがあり、どの吻合法かちょっと判断し難い点があります。同じ術式でも手術手技が少なからず影響していることを、医師は反省しなければいけません。食前に漢方薬の茯苓飲合半夏厚朴湯を一服飲むと、会話をしながら食べられるようになるかもしれません。一度試してください。

flower1 ナガイモでつかえが軽減
千葉県 Kさん (53歳)
  平成14年3月、胃癌で胃と胆のうを全摘しました。術後、一番悩んだのは食べ方でした。何を食べてもつかえて、息もできないくらい苦しくなります。吐きたくても吐けず、口の中に指を入れて吐き出すと、白っぽい粘りのある液体が出てきます。
  食事のたびにつかえを起こすので食べることが嫌になり始めたとき、会報に「粘りのあるものを先に食べるとつかえない」という体験談が載りました。そこで食前に、すったナガイモをスプーンで5杯ほど、ゆっくりと食べるようにしました。
  この食べ方が良かったのか、3ヵ月過ぎから少しずつ、つかえが軽減してきました。

flower2 ドクターから一言
  何を食べてもつかえるのは、吻合部(つなぎ目)のむくみや多少の捻れなどによる狭窄があったからでしょう。これは月日とともに軽くなります。すったナガイモの粘りは不思議な力を示し、その体験は少なくありません。

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