アルファ・クラブ掲載記事   アドバイス 昌平クリニック院長 鍋谷欣市

以下はALPHA CLUB 360号(6/'12)【私の工夫 それぞれの後遺症対策】に掲載された記事です
ひまわり 逆 流
flower1 うがい薬とチョコレート
新潟県 Tさん (83歳)
  平成16年2月、胃癌のため胃を全摘し、ルーワイ法で再建しました。
  再入院するほどの症状はありませんでしたが、後遺症は軽重の差こそあれ、いろいろ経験しました。いずれも年月がたつにつれて症状が薄れたり、頻度が減ったりしていますが、完治には至らないようです。
  上半身を30度高くしていても、夜半に突然、飛び起こされる逆流の急襲の苦難は忘れられません。急いで洗面所に行き、うがい薬で苦味が和らぐまでうがいを繰り返し、それでも残る苦味には、チョコレートを含みゆっくり溶かしながら逃れるようにしています。2〜3ヵ月も発症しないと、「もう終わりかな」と心ひそかに期待しますが、忘れた頃に再び急襲され、閉口しています。
  身体の大切な臓器の一つを切除し、六腑不満足で生命が保たれているのですから、身体のほうが黙って見逃すわけはないと思われます。健常者とはいえないこの身体ですが、それなりにつき合いながら、これからの人生を前向きに過ごしていきます。

flower2 ドクターから一言
  胃全摘後の逆流は、アルカリ性の十二指腸液によるものでしょう。逆流には自律神経も深く関係しますので、自分を納得させる生活のリズムが大切です。水のうがいは平凡ですが、一番の工夫かと思います。漢方の半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)も、気分を落ち着かせる処方です。

flower1 冷水を飲む
兵庫県 Nさん (75歳)
  平成18年2月、胃癌で胃の幽門側を3分の2と胆のうも切除しました。
  術後半年くらいから少し食べられるようになりました。昼食に焼きソバを半分ほど食べるとおなかが一杯になり、すぐに昼寝、という日課が2週間ほど続いてからでしょうか。突然、何ものどを通らなくなり、急激にやせてしまいました。内視鏡検査の結果を見ると、自分でもびっくりするほどひどく荒れた汚い食道でした。逆流性食道炎と診断され、毎食後のフオイパンと就寝前のガスター20を処方されました。
  枕は首の下が少し高めになるように工夫し、仰向けに寝ます。時々、横向きになりたくなり、そのまま寝過ごすと逆流で目が覚めます。すぐに起きて冷水をコップ半杯ほど一気に飲むと、のど元まで上がっていた酸っぱい物が下ります。昼間の逆流も3ヵ月に1度ほど起こり、つらいです。食事ができず、3〜5分間、ムカムカします。
  また、便秘になったときは、腹痛がよく起こるため、食べられる物を食べたいときにひたすら食べます。ただし、酸っぱい物、辛い物、硬い物は避け、食べ過ぎには注意してゆっくり食べます。そして、就寝の3時間前は食べません。おかげで最近はあまり逆流を起こさずに頑張っています。

flower2 ドクターから一言
  Nさんの逆流は、主に酸性の胃液によるものでしょう。上半身を高めにしたりしてもなかなか止まらないものです。冷水は酸性液を直接薄めるので簡単で合理的です。リンゴジュースが良いという人もいますので、ご参考までに。

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