漢方掲載記事−昌平クリニック院長・鍋谷欣市−

以下は、健康雑誌「安心」2009年4月号(マキノ出版/マイヘルス社)【近視、老眼、白内障、緑内障の
悩みが吹き飛ぶ最新最強秘策】に 掲載された記事です。


clover 白内障の75%に効果があった!
  視力が向上し進行が止まった例もある漢方の妙薬
昌平クリニック院長  鍋谷 欣市

clover 1年で視力が0.3上昇した
  目の病気にもいろいろありますが、基本的に老化が主な原因となって表れる症状も少なくありません。
  たとえば、白内障(目のレンズに相当する水晶体が濁る病気)や老眼、それに眼精疲労などがそれに当たります。
  漢方では、こうした老化による目のトラブルに最も有効な薬として、八味丸(はちみがん)をよく使います。八味丸は、その名のとおり地黄を中心に牡丹皮桂枝茯苓沢瀉山茱萸山薬附子の8種類の生薬(漢方薬の原材料となる天然薬)からなる漢方薬です。
  中国はもちろん、日本でも古くから白内障の妙薬として用いられてきましたが、その有効性を裏づける次のような臨床研究もあります。
  私の大学の先輩でもある眼科医の故・藤平健先生が、白内障に対する八味丸の改善効果について調べたもので、調査は昭和42年と昭和60年の2度にわたり、計974名の白内障患者さんを対象に行われました。
  その結果、視力が向上した例が48.8%、現状維持し続けた例が26.0%、効果が見られなかった例が23.2%でした。
  白内障の場合、視力の維持だけでもむずかしいものがありますから、それを含めると75%、4人中3人に効果が認められたことになります。
  私のクリニックでも、白内障など加齢性の眼病の治療には、もっぱら八味丸を処方しています。やはり、藤平先生の研究内容とほぼ同様の改善効果を得ています。参考までに、症例を2例ほどご紹介しましょう。
  Sさん(女性・初診時55歳)は、老人性の皮膚性白内障の初期でした。視力は左右とも0.3まで低下し、よく目がショボショボする、かすむなどの症状を訴えていました。
  そこで八味丸を処方し、飲み続けてもらったところ、1年間で視力が右0.6、左0.5まで回復しました。さらに飲み続けて3年たった現在、視力は右0.6〜0.8、左0.6〜0.7といったところで安定し、目の違和感もほとんどなくなったそうです。


clover 白内障の手術も回避できそう
  Mさん(女性・初診時72歳)は、3年前に白内障との診断を受け、私のクリニックを受診されました。そのとき、すでに矯正視力で右目が0.6、左目が0.4まで下がっていました。
  白内障の手術は有効性、簡便性ともにかなり進んできていますが、それでもどうしてもいやだという人が少なくありません。Mさんはその一人で、せめて視力の維持だけでも、漢方治療でなん
菜の花の写真
とかならないかと切に希望されます。
  Mさんには、慢性の胃炎と手足の冷えもあり、そこで八味丸とともに胃炎に効く四逆散(しぎゃくさん)、冷えに効く真武湯(しんぶとう)を処方しました。
  このように、漢方では同じ白内障でも、個々の証(病人が訴えるさまざまな症状や体質のこと)に応じて、複数の薬を併用し、体を総合的に改善しながら治療をすすめることが多くあります。
  その結果、ほどなくして冷えや胃炎は快癒。視力のほうも1年経過した時点で、右目は0.6のままで維持、左目のほうは0.5と、少しですがよくなりました。
  Mさんはその後も八味丸を服用し続けていますが、視力の低下も白内障の進行も今のところ見られず、手術も受けずに済みそうです。
  なぜ、八味丸がこれほど白内障の改善に効果を発揮するのでしょうか。それは、長い歴史の中で生まれた数多くの漢方薬の中でも、八味丸ほど老化防止に役立つ薬はめったにないからです。
  そのなかでも特筆できるのが、気・血・水の生薬配合のバランスが非常に充実している点です。
  気・血・水は体をめぐる3つの流れで、漢方では、この乱れを整えることが治療の基本になります。
  八味丸の場合、「気」は桂枝、「血」は地黄牡丹皮山茱萸附子、「水」は茯苓沢瀉と、それぞれの分野で代表的な生薬が含まれ、さらに精力をつける山薬が加えられています。
  この絶妙な配合バランスが細胞の老化にブレーキをかけ、あらゆる臓器・器官の働きを元気にしてくれるのです。
  白内障は、目の水晶体が白く濁ってくる病気です。濁りの原因は水晶体内の、たんぱくの変性によるもので、これは白髪や皮膚の角質化と同じように典型的な老化症状の一つです。
  八味丸は、目そのものに直接働きかけるというより、気・血・水・精の改善によって、全身の細胞を総合的に活性化するといったほうがよいでしょう。その結果が、白内障をはじめ、老眼や疲れ目、かすみ目など、老化による目の衰えを防ぐことにもつながるわけです。

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