漢方・掲載記事
この記事は 「壮快」2005年11月号別冊「最強<毒出し美白術>」(マキノ出版)に掲載されました

シミ、くすみが出やすい体質を根本から改善し美白肌をもたらす毒出し漢方薬
昌平クリニック医師  菅原 万喜

お血の解消が毒出しにつながる
 皮膚科の教科書では、月経不順など女性ホルモン分泌の変調を基礎に、日光の紫外線などの刺激によって、シミがふえるとされています。
 最近は、レーザー光線などを利用した直接的なシミの除去治療も多く見受けられます。もちろん、これらも即効性があり、有用な治療の一つです。
  しかし、せっかくシミを取り去っても、シミや肌のくすみを生み出す元となった体の中の原因が改善されていなければ、けっきょく、またシミはできてしまうでしょう。
  それに対して、温めたり潤したりする処方を加えて、体質改善を図ることで、シミやくすみの根本的な原因を除き、長期間肌を美しく保とうとするのが、東洋医学的なアプローチです。
  東洋医学では、血液の流れが停滞することを「お血(おけつ)」という概念でとらえています。お血は、骨盤内の臓器で起こりやすく、婦人科系の病気と深い関係があるのです。
  疲れやストレスによってホルモンバランスがくずれると、月経異常を起こしてお血が生じます。
  お血がある人に、シミやくすみなどが多く見られることから、東洋医学的には、シミやくすみには、お血を解消する「駆お血剤(くおけつざい)」を処方するのが基本となっています。
  最近、美容雑誌等でよく聞かれるデトックス(毒出し)も、駆お血に通じると考えられます。
  その処方は、個人の体質や症状によって多様に考えられますが、代表的な三つをご紹介しましょう。
  まず、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は効果がマイルドなので、漢方薬を試すのは初めてというかたに、よく処方します。ことに冷え症で疲れやすく、体力に自信のないかたに向きます。
  芍薬(しゃくやく・シャクヤクの根)、茯苓(ぶくりょう・サルノコシカケ科マツホドの菌体)、(じゅつ・キク科ホソバオケラの根茎)、沢瀉(たくしゃ・オモダカ科のオモダカの茎)、川きゅう(せんきゅう・セリ科センキュウの根茎)で構成される漢方薬です。
  体を温めて新陳代謝をよくし、シミやくすみの原因となるお血を取り除く効果に優れています。また、最近の研究では、女性ホルモンの分泌に影響・作用を及ぼすことが判明しています。
  一方、しっかりした体格で、ある程度体力に自信のあるかたの場合は、桂枝(けいし・クスノキ科ニッケイの枝の皮)、茯苓牡丹皮(ぼたんぴ・ボタンの根皮)、桃仁(とうじん・モモの種)、芍薬からなる桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)が有効です。
  それから、これから更年期を迎えるかた、あるいは更年期以降のかたには、加味逍遥散(かみしょうようさん)がいいでしょう。

イライラをおさえストレスを軽減
  更年期前後の女性は、どうしてもホルモンのバランスがくずれがちになるため、動悸やめまい、イライラなど、つらい症状が起こってきます。
  加味逍遥散は、お血を解消する作用に加え、ストレスを軽減し、イライラをおさえるなど、精神的症状の改善にも非常に有効なのです。
  加味逍遥散は、当帰、芍薬茯苓柴胡(さいこ・セリ科ミシマサイコの根)、牡丹皮山梔子(さんざし・バラ科サンザシの果実)、甘草(かんぞう・マメ科カンゾウの根)、生姜(しょうきょう・ショウガの根茎)、薄荷(はっか・シソ科ハッカの葉)で構成されています。
  今回、ご紹介した処方は、体調を整える目的で継続して飲んでいただくことが多く、漢方薬を処方する病院や、漢方薬局のほとんどで扱われているものです。
  漢方薬の場合、飲み始めて1ヵ月ほどで効果が現れてきます。それが薬を選択する際の目安の一つにもなります。もしも1、2ヵ月ほど継続して飲んでみて、効果が現れなかったり、自分に合わないようだと感じたりしたら、専門家に相談してみることをお勧めします。
  なお、漢方薬の美白効果を高めるためには、日常生活でもいくつか注意が必要です。
  冷房を控える、シャワーで済まさずおふろに入って体を芯から温めるようにする、冷たい野菜サラダよりも温野菜を食べるなど、体の内と外から、いつも体を温めるように心がけることが、大切なポイントです。
  体内の老廃物を速やかに排出するために、腸の調子を整える働きのある発酵食品を積極的にとるのもお勧めです。




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