漢方・掲載記事

この記事は 「壮快」2006年1月号(マキノ出版)に掲載されました

中高年に多い白内障、緑内障、飛蚊症に卓効を発揮!
  眼科医オススメの漢方薬
昌平クリニック医師・眼科医師  菅原 万喜

目の血行が促され見え方が改善する
  白内障(目をカメラにたとえたときにレンズに当たる水晶体が白く濁る病気)の最たる原因は加齢によるもので、60代以上のかたの約8割前後に見られます。
 目の成人病と呼ばれる緑内障(なんらかの原因で視神経が傷害され視野が欠けていく病気。眼圧上昇が代表的な原因)も、きちんと検査をすると40代以上の人、約30人に1人に発見されると考えられます。
  また、飛蚊症(目の前を虫や糸くずなどが飛んでいるように見える症状)に悩むかたも数多くいます。
  漢方は、これらの病気にも、有効な治療法の一つといえるでしょう。
  目は水分の多い臓器ですが、体調や老化によって水分調節がうまくいかなくなると、その影響を受けやすいのです。水の調節には、腎臓が主に働いています。
  白内障は老化現象ですが、八味丸(はちみがん)が有効です。白内障のかたは、天気(湿度や明るさ)や体調によっても見えにくくなるのですが、八味丸の滋養強壮作用によって、体調がよくなり、目の血行が促されて、見え方が改善することが多いのです。
  ある60代の男性は糖尿病があり、白内障を指摘されました。水晶体の濁りは、比較的周辺に目立ち、中心は軽度。糖尿病で起こることがある網膜症(カメラのフィルムの役目をする網膜が傷んで起こる眼病)もなく、視力はあまり低下していませんでした。しかし、目がかすむことがあり、特に夜間自動車を運転しているときにまぶしいということでした。
  八味丸の服用を続けたところ、その後の白内障の進行はおさえられ、目のかすみも悪化せず、夜間の症状も以前ほど感じなくなりました。
  ただし、八味丸に入っている地黄(じおう・ゴマノハグサ科のアカヤジオウの根、またそれを蒸したもの)という生薬(漢方薬を構成する草根木皮)が胃腸障害をもたらすことがあるので、胃腸が丈夫でないかた、胃腸病の既往症があるかたは、服用を食後にしたり、六君子湯(りっくんしとう)など胃腸を保護する漢方薬を併用しましょう。

ピントの調整力を高める漢方薬
  漢方治療の対象となる緑内障は、慢性のものです。緑内障は目の中の房水と呼ばれる水の流れがうまくいかなくなり、房水の圧力(眼圧)が高まる病気です。この緑内障には、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)が効果的です。体内の水はけをよくし、血行をよくしてくれます。視神経への血流をよくして、視神経を保護する働きも期待できます。ただし、治療の基本として点眼薬は必要ですから、点眼薬を中止せずに漢方薬を併用してください。
  ある40代の女性は近くの眼科で正常眼圧緑内障を発見され、点眼薬を処方されていました。しかし、点眼薬の副作用を心配され、漢方治療を希望されました。まず、点眼薬の必要性を説明し、漢方薬と併用することを納得してもらいました。視野は極端に欠けておらず、暗点という見えない部分は出ていましたが、視野欠損の自覚はありませんでした。
  話をきくと、朝起きたときにたまにめまいがして、ふらつくことがあるそうです。これは、東洋医学的には水の流れが悪いことを疑わせる所見でした。そこで、苓桂朮甘湯を処方しました。点眼薬と併用し続けたところ、体調はよくなり、ふらつきもなくなりました。眼圧も10台前半を維持し、現在までのところ視野の変化も進んでいません。
  飛蚊症は、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)で改善できる場合があります。牛車腎気丸は、老化を防ぐ八味丸に、水はけをよくする生薬と筋肉を補強する生薬が加わったものです。
  高齢者の飛蚊症は、目の中に詰まっている硝子体という部分に濁りが生じたり、硝子体がしぼんでそれが影をつくったりすることが原因。老化による濁りやしぼみを防ぎ、さらに筋肉を補強して、ピントの調節力を改善しようというわけです。
  ある60代の女性は、以前から飛蚊症があり、眼科の検査では異常はなく、特に治療法もないといわれたため、漢方治療を希望されました。牛車腎気丸を服用したところ、症状が気にならなくなり、体調も改善しました。現在も服用を続けています。
  飛蚊症は、まれにほかの病気が原因で起こる可能性があるので、服用前に必ず検査を受けましょう。




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