鍋谷院長のこの漢方薬が効く!

以下は健康雑誌「壮快」3月号(マキノ出版/マイヘルス社)に掲載された 記事を要約したものです。

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

春の病に効く漢方薬
 小青竜湯は、古代中国の空想の動物、青竜の名前を取った漢方薬です。
  古代中国の考え方では、東西南北の四つの方位と春夏秋冬の四つの季節に、それをつかさどる神としてそれぞれ空想上の動物が、次のように配置されていました。
●東方の春 → 青竜(青い竜)
●南方の夏 → 朱雀(赤い鳳凰)
●西方の秋 → 白虎(白い虎)
●北方の冬 → 玄武(黒い亀と蛇が合体したもの)
漢方では、これら動物の四神に対応して、青竜湯、朱雀湯(すざくとう)(十棗湯・じゅうそうとう)白虎(びゃっことう)、玄武湯(げんぶとう)(真武湯・しんぶとう)の四つの優れた処方を命名しています。
その中で主役の 麻黄(まおう)(後述)が青畳の色に似ていることで名付けられ処方で、小青竜湯は、春の病に卓効を現す漢方の処方といえます。
春の病とは、なんでしょうか。それは、今や日本人の国民病といえるほどふえつつある花粉症です。
この処方は、八つの生薬(漢方薬の原材料となる草根木皮)から構成され、それぞれ次のような薬効を示します。
●麻黄(マオウ科のシナマオウおよび同属植物の茎)・・・発汗させセキを止める
●半夏(はんげ・サトイモ科のカラスビシャクの球茎)・・・吐き気を鎮める
●桂枝(けいし・クスノキ科のケイおよびニッケイ類の枝皮)・・・発汗解熱させて、のぼせを解消する
●芍薬(ボタン科のシャクヤクの根を乾燥、または蒸乾させたもの)・・・気管支のけいれんを緩め
   セキを取る
●甘草(かんぞう・マメ科のカンゾウ類の根)・・・バランスを取る調和剤
●細辛(さいしん・日本ではウマノスズクサ科のウスバサイシンの根茎および根)・・・水の巡りをよく
   して水毒をさばく
●乾姜(かんきょう・ショウガ科のショウガの根茎を乾燥させたもの)・・・水毒を改善する
●五味子(ごみし・マツブサ科のチョウセンゴミシの成熟果実)・・・気管支のけいれんによるセキを
   鎮める

花粉症の七割の人に有効
この構成からもおわかりのように、小青竜湯は本来、水毒を改善する薬です。水毒というのは、体の中の水はけが悪いために起こる不調のことです。
  本来、胃の中に水は留まらないはずですが、ここに余分な水がたまることを胃内停水と呼びます。これは消化不良、食欲不振を引き起こします。
みずおちをこぶしてたたいたり、走ったりすると、胃の中でポチャポチャと水の音がする人がいますが、これを振水音といい、胃内停水を示す重要な目安になります。
このほかに、関節に水がたまる、水太りする、湿っぽいセキをするなども水毒の症状とみなされます。
体力が中等度の人の、水の巡りをよくして、水毒に基づくさまざまな症状を改善する薬、というのが小青竜湯の特徴です。
水毒の最大の診断目標は、さきほど申し上げた胃内振水音を示す胃内停水といえるでしょう。それに伴って、鼻水、セキ、くしゃみがよく出る人は、ほぼ間違いなく水毒の証(証とは漢方的診断目標)と考えることができます。
このように、小青竜湯は、春先から始まる花粉症の治療にぴったりの薬です。
実際にこの処方が、花粉症に有効であるとする報告は無数にあり、使用した人のおよそ6〜7割には有効というデータがあります。それ以外の3〜4割の人には、葛根湯(かっこんとう)桂枝湯(けいしとう)が効くことがありますが、とりあえず花粉症の人は、まず最初にこの小青竜湯を使ってみようというのが、今日の漢方薬資料の基本的な考え方でしょう。

副作用の心配は無用
もともと水毒を改善する薬ですから、小青竜湯は花粉症だけに効くというわけではありません。熱がでたりセキが出たりして水毒の目立つ一般のカゼ、気管支ぜんそくなどに用いられて効果を発揮することも珍しくありません。
また、体内での水の新陳代謝をよくしますから、急性や慢性の腎炎やネフローゼといった腎臓の病気、むくみの伴う病気、結膜炎、関節炎、体のどこかに水のたまる病気にも効果を現します。
さらには、消化管の中の水毒症状、例えば胃酸過多症、胃カタル(カタルとは粘膜の表層の炎症)、胃の病気などにも卓効を示します。
 小青竜湯は、体力が中等度の人で水毒の症状を治す薬というのが基本ですから、花粉症の人の多くに効き目があるでしょう。
もっと体が虚弱な人には苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)を使うこともあります。逆に体力がもっと強い人には、葛根湯大青竜湯(だいせいりゅうとう)を用いることもあります。
 もし小青竜湯が体に合って、花粉症やそのほかの症状が改善されるという人の場合は、例えば、花粉症の時期の間にずっと小青竜湯を飲み続けても、副作用などが起こる心配はありません。
安心して使ってください。

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