メディア情報のご紹介 ※以下は、日刊スポーツ新聞「Dr.漢方」1994年9月15日に掲載された記事です
虫眼鏡のイラスト【網膜色素変性症】 柴胡桂枝湯で視力回復
clover「証」を把握し6年間は服用を
  漢方治療のかなめともいえるのが「証(しょう)」の診断。この証の診断で、現在日本で屈指の実力を持つのが日本東洋医学会名誉会長の藤平健先生(78、千葉大卒)である。
  藤平健先生は、これまでにもさまざまな難病を漢方で治療してきたが、「ぜひ、みなさんに知っていただきたい」というのが網膜色素変性症に対する漢方の効果である。この病気は、遺伝性疾患のひとつで、網膜の裏にあるはずの色素が網膜表面に入り込み、視野や視力を侵す。早い人では小学校入学前から症状が表れ、50〜60歳までの間にほとんどの人が失明するという恐ろしい病気だ。
  残念ながら現代医学では決め手となる治療法はなく、みすみす失明という悲劇を味わう人も多かった。しかし、藤平先生は「これまで1000人以上この病気の人を診ていますが、見えなくなったのは一人だけ。この人は、診断の時点ですでに進行していました」。
  藤平健先生は、主に大柴胡湯(だいさいことう)小柴胡湯(しょうさいことう)、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)四逆散(しぎゃくさん)など、柴胡を含む漢方薬を中心に、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などの駆お血剤を併用する。「漢方的診断を行うと、両方の証が必ず出てくるのです。証をきちんと把握して漢方薬を使えば、その日から間違いなく進行は止まります。6年服用を続ければ、ほとんどの人は漢方薬を止めても大丈夫です」。
  小学校入学時の身体検査で網膜色素変性症と分かったA君も、奇跡的な回復を遂げたケースだ。気付いたときには両目とも0.1。視野も狭くなり、夜は目が見えないという典型的な症状を示していた。驚いた両親は東京の大病院を巡り歩いたが、どこも診断は同じ。「いずれ失明しますから、最初から盲学校に入った方がいいのでは」とも言われ
診察イラスト
た。しかし、藤平先生の診断では、柴胡桂枝湯の証。これを服用するうちに、年ごとに視力が回復していった。中学に入ったときには視力が0.9と1.0まで回復し、視野もほとんど正常になった。大学病院の検査でも「異常なし」の診断を受け、7年目に漢方薬をやめている。「完全に良くなる人は少ないですが、0.2の視力が0.5ぐらいまで回復する人が多い。どんどん進行していく病気ですから、進行が止まるだけでも大変なことです。失明するかしないかでは天と地ほども違う。早いほど効果は高いので、ぜひ覚えておいてください」。
  病気の進行が止まり、涙を流して喜ぶ人も多い。

clover薬の正しい服用で病気進行ストップ
漢方的診断
患者の訴える自覚症状のほかに脈の状態や腹部の状態、顔色や舌の状態、話すときの声などさまざまな情報から患者の証を診断する。漢方の場合は、この証がそのまま治療方針となり使われる漢方薬が決定される。藤平先生は50年以上漢方治療に心血を注いできたが、「初診で的確に証を把握できるのは8割5分。それほど、きちんと証を把握するのは難しいこと」と話している。


早いほど治療は効果的
小学校3〜4年までに漢方治療を開始すると効果が高いが、30歳を過ぎると視力や視野が良くなることはまず難しい。ただし証に合った薬を服用すれば、その日から病気進行は止まる。

  ※藤平健先生は、当昌平クリニックの創始者です。全国から多くの患者様がお見えになりましたが、平成9年に82歳で亡くなりました。
当院では、その後も藤平先生の診察のやり方を継承しています。

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