メディア情報のご紹介 ※以下は、日刊スポーツ新聞「Dr.漢方」1994年9月16日に掲載された記事です
虫眼鏡のイラスト【老人性白内障】 皮質の濁りには八味地黄丸
clover飲み続けることが大切
  年を取るほど増えてくるのが、老人性白内障だ。これは、レンズの役割をしている目の中の水晶体が白く濁り、ものが見えにくくなる病気。現代医学には水晶体の濁りを取る薬はなく、日常生活が不自由になるほど視力が低下した時点で、濁った水晶体を取り除き、人工水晶体(眼内レンズ)や眼鏡で補正することになる。
  しかし、この病気には漢方薬がよく効くことが知られている。実は、その発見者が藤平眼科院の藤平健先生(78、千葉大卒)なのである。「老化によって起こる症状によく効く八味地黄丸(はちみ
じおうがん)という薬があります。老人性の白内障も老化が原因ですから、30年ほど前に八味地黄丸を使ってみたんです。そうしたら驚くほど良くなっていくんですよ。細隙灯(さいげきとう)顕微鏡(眼科で使われる検査機器)で目を見ると、本当に水晶体の濁りが取れて、澄んでいるのです」。
すこやかな老人イラスト
  ところが、治療を続けるうちになかなか効果の表れない人たちがいることに気付いた。目覚ましい効果を上げる八味地黄丸が、なぜ一部の人には効かないのだろうか。調べてみると、水晶体の濁り方が違うことが分かってきた。「水晶体を包む皮質という部分から濁りが始っているケースは、八味地黄丸でまず良くなります。しかし、水晶体の中心の核から濁りが始っているケースには、全く効果がないのです」。
  さらに、視力は、0.4以上あると回復もしやすい。ふつう八味地黄丸は、かなり体力の低下した人を対象に使われる場合が多いが、老人性白内障の場合はだいたい8〜9割の人に使うことができるという。
  3ヵ月ほどで水晶体の濁りがきれいになる人もいる。ただ、漢方薬の服用をやめると再び白内障が進むので、飲み続けることが大切だそうだ。これまでに藤平先生が治療した白内障の患者さんは数千人以上。その中には、30年以上八味地黄丸を飲み続けている80歳の患者さんもいる。この人の場合は、八味地黄丸を飲んで、0.7と0.8の視力が1.2まで回復し、今もその状態が続いている。もし放置していれば、とうに見えなくなり、手術をしていたところだろう。白内障の約6割は漢方薬で視力を回復しているそうだ。
  また、八味地黄丸以外には、人参湯(にんじんとう)牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、ときには大柴胡湯(だいさいことう)なども使われている。

clover白内障に使われる漢方薬
【体力がない人】
⇒八味地黄丸 腹部を押すと上腹部より明らかに下腹部の力が弱い。腰から下に脱力感があり、ひざがガクガクして転びやすい。疲れやすく、夜何度もトイレに起きる、のどが渇くといった人に。このうち一つか二つ当てはまればよい。胃腸の弱い人は人参湯との併用がよい。

⇒人参湯 みぞおちに軽い抵抗と押したときに痛みのある人で胃腸が弱く、口の中に薄い泡のようなだ液がたまりやすいか、逆に口の中がカラカラに渇く人。

⇒牛車腎気丸 上腹部より下腹部の力がない人で、疲れやすい、尿の量が少ないか、多い、とくに下半身がむくみ、ひざがガクガクする、手足が冷える人に。

⇒六味丸(ろくみがん) 八味地黄丸とほぼ同じタイプの人で、もっと体力の落ちている人。八味地黄丸を飲むとのぼせたり、胃の具合が悪くなる人に。

【体力のある人】
⇒大柴胡湯 ガッチリした体格で、みぞおちやろっ骨の下を押すと、強い抵抗と痛みがあり、朝起きたときに口の中が粘って苦い、便秘気味、肩や首がこる人に。

  ※藤平健先生は、当昌平クリニックの創始者です。全国から多くの患者様がお見えになりましたが、平成9年に82歳で亡くなりました。
当院では、その後も藤平先生の診察のやり方を継承しています。

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