メディア情報のご紹介 ※以下は、日刊スポーツ新聞「Dr.漢方」1994年9月17日に掲載された記事です
虫眼鏡のイラスト【仮性近視】 五苓散と苓桂朮甘湯で水毒治療
clover本当の近視には眼鏡を
  本当の近視ではないのだが、視力がちょっと落ちた状態を「仮性近視」ということがある。これは、読書や勉強など近くで物を見る作業を続けていると、水晶体の厚みを調整する毛様体筋が異常に緊張して水晶体が厚くなって起こる状態。従って、毛様体筋の緊張を取ってやれば回復するのだが、何度も繰り返していると、本当の近視になると言われている。
  これを食い止める方法はないのだろうか。こういう場合にも漢方薬が有効なことが多い。「漢方の場合、仮性近視は水毒と考えるんです。水分の代謝がうまくできずにどこかに水が偏在している、あるいは水の排泄が悪い状態です。こうした状態を早く治してやれば、仮性近視が治ることはいくらでもあるんです」(藤平眼科院・藤平健先生 78、千葉大卒)。
  漢方で効果が高いのは、五苓散(ごれいさん)苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)。いずれも水の代謝を良くして水毒を治療する薬だ。これらの漢方薬は、仮性近視の約4割に使うことができる。残りの人は、どちらかの漢方薬と一緒に柴胡(さいこ)を含む漢方薬を併用する「証(しょう)」の人が多い。つまり、漢方的診断をすると、五苓散苓桂朮甘湯の証とともに、柴胡剤の証を持っているのである。
  ただし、漢方薬で治るのは仮性近視だけで、本当の近視になると治療は無理。仮性近視は中学生ぐらいまでの病気で、その後は本当の近視に移行していく。そこで、重要になるのが、仮性近視なのか、本当の近視なのか、その見分け方である。藤平先生は簡単な見分け方を紹介している。
視力検査イラスト
  まず、5メートルほど前方の壁に新聞を張り、子供に大きな字と小さな字を読ませ、どの程度読めるかを見る。次に、老眼鏡をかけさせて、15分ほど本を読ませる。その後、老眼鏡を外してもう一度新聞を読ませる。
  これで、老眼鏡をかけたあとの方が、より小さな文字まで見えるようになることがある。その場合は仮性近視と考えていいそうだ。
  実際には、仮性近視と本当の近視が交じっているケースもあるが、その場合も漢方薬で治るのは、仮性近視の方だけ。ある程度までは漢方薬で視力が回復するが、その後は視力が上がらなくなる。これは、本当の近視が残った状態だそうだ。その時点で、どの程度まで視力が回復したのかを見て、眼鏡やコンタクトレンズを使用することになる。本当の近視と分かったら、速やかに眼鏡を使いたい。

clover仮性近視の漢方薬

⇒五苓散 沢瀉(たくしゃ)、白朮(びゃくじゅつ)など5種類の生薬から成る漢方薬。のどが渇いてよく水を飲み、汗をよくかくが尿の出は少ないという人に向く。

⇒苓桂朮甘湯 茯苓(ぶくりょう)、桂枝(けいし)など4種類の生薬から構成される。動くと胃の辺りでポチャポチャと音がする、立ちくらみしやすく、頭が重い、動悸がするという人に。

⇒柴胡剤 柴胡を含む漢方薬の総称。仮性近視の場合は、体力のある人には、大柴胡湯(だいさいことう)小柴胡湯(しょうさいことう)、体力が普通の人には、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)、体力のない人には柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)などが用いられることが多い。


  ※藤平健先生は、当昌平クリニックの創始者です。全国から多くの患者様がお見えになりましたが、平成9年に82歳で亡くなりました。
当院では、その後も藤平先生の診察のやり方を継承しています。

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