漢方 掲載記事
この記事は 「壮快」2006年9月号別冊(マキノ出版)「<毒出し快便術>No.1事典」に掲載されました

毒出し快便といえばやはり漢方!
   頑固便を出すあなたにぴったりの漢方薬はこれ
昌平クリニック医師  菅原 万喜

体質や症状に合わせ最適な生薬を配合
  最近、体内毒素を排出して健康になるというデトックスが、注目されています。漢方でも、気(エネルギー)、血(血液)、水(血液以外の体液)がそれぞれ停滞する「気鬱」、「お血」、「水毒」という状態が、体に害を及ぼすと考えられています。漢方薬が、これらを改善するのはもちろんですが、今回は、便秘解消にも役立つことをお話しします。
  老若男女を問わず、便秘に悩んでいる人は多いものですが、「毎日便通がないから便秘」というわけではありません。たとえ、2、3日に1度しか便通がなくても、毎回すっきりと便が出るなら、特に問題はないのです。しかし、常習的に便通がなく、おなかが張ったり、排便しても残便感があるようなら、早く便秘体質を改善する必要があります。
  ところで、一般の便秘薬の多くは、ただ単に排便を促す効果しかありません。また、病院で処方する便秘薬も漢方の生薬(漢方の原材料)の成分が主体のものがありますが、それ一種類しか含まれない単剤として用いられるため、なかなか改善しなかったり、下痢を生じたり、徐々に効果がなくなったりするなどの例が見られます。
  その点、漢方では、さまざまな原因が重なって便秘になると考えられています。そして、体質や症状、つまり証(漢方的な見方による体の状態)に合わせ、便秘も含めて体の不調の原因を取り除いていくという特徴があるのです。そのため、便秘に効果のある薬はいろいろあり、便秘改善は漢方が得意とする分野です。
  最も代表的な便秘解消成分は、大黄というもので、ほとんどの薬に含まれています。しかし、大黄はかなり強い生薬なので、体力がある人(実証)とない人(虚証)によって、量を加減して処方されているのです。

お血や水毒を取り除く漢方薬
  では、数ある漢方薬の中から、主なものを3つご紹介しましょう。それは、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)麻子仁丸(ましにんがん)です。
  桃核承気湯は、胃腸が丈夫で、比較的体力がある、実証の女性の便秘改善に役立ちます。さらに、便秘だけでなく、生理不順、生理痛、下腹部の圧痛、のぼせ、頭痛、肩こりなどの症状を伴っている人に最適です。
  このような症状があるのは、下腹部の血液循環が悪く、古い血が滞っているお血が原因と考えられますが、桃核承気湯は、そのお血を取り除く作用に優れています。
  比較的作用の強い成分で構成されているので、この漢方薬を2、3日服用すれば、便秘の状態が解消されると予想されます。付随する症状も改善して体の調子を整えるためには、1ヵ月くらい量や回数を加減して飲むといいでしょう。
  桂枝加芍薬大黄湯は、体力は普通(中間証)で、便通が乱れがちな人に向いている漢方薬です。ストレスに弱く、過敏性腸症候群のかたにもお勧めです。
  処方されている桂枝には、体を温め、精神を安定させる働きがあり、芍薬には腸の働きを整えて腹痛を取り、大黄には便意をつけて、たまった宿便を取り除く働きがあります。
  桃核承気湯よりも、ややマイルドな処方となっており、1、2週間くらい服用すれば、便通がよくなってくると思われますが、その後は便通を見ながら回数をへらし、頓服で続けるのもよいでしょう。
  麻子仁丸は、胃腸が弱く、体力のない(虚証)中高年のかたにお勧めしたい漢方薬です。中高年になると、、体内の水分が偏りがちになり(漢方でいう水毒の状態)、腸管からの水分吸収が悪くなります。すると、コロコロのかたい便が出るようになり、便秘しやすくなるのです。
  高齢のかたの場合、皮膚の乾燥や頻尿などの症状を伴うことも多いのですが、麻子仁丸には、腎臓の働きを高める作用があるので、水分の偏りを取り、皮膚の乾燥や頻尿などの症状も改善します。
  1、2週間服用すれば便秘が解消してくると思われますが、作用が穏やかなので、滋養のために継続して飲んでも安心です。お通じと体力の具合を見ながら、服用を続けるようにしましょう。



漢方治療はその時のその人に合った薬を微調整するオーダーメイド処方です。
   必ず専門の医師にご相談ください。

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