この記事は 「壮快」2008年7月号(マキノ出版)に掲載されました
ヤマイモ、黒豆入り!
自然の力で血糖値を下げると注目の糖尿病を治す漢方薬
医学ジャーナリスト  武内 直樹

血糖値が下がった人が続出している
  皆さん、あの結果は、いかがでしたか。
  そう、メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)の健診のことです。
  今年の4月から、健康保険に加入している40〜74歳の国民を対象に、厚生労働省によって、メタボリック症候群の健診が義務化されました。
  もしかすると、思わしくない結果が出た人もいるかもしれません。しかし、「まあ、いいか」「まだ大丈夫だ」と目を背けている人が多いのではないでしょうか。
  そもそも、こうした義務化の背景には、メタボリック症候群の危険性の高さが重要視されてきたことが挙げられます。
  メタボリック症候群は、動脈硬化の原因となり、心筋梗塞(心臓の血管が詰まる病気)や脳卒中の引き金になる恐ろしいものです。テレビや雑誌などでは、「メタボ」と軽々しく呼ばれていますが、こうした軽い響きの言葉の裏には、非常に怖い病気が潜んでいるのです。
  さて、メタボリック症候群の診断基準の一つに、「空腹時の血糖値(血液中の糖分量を示す値)」が110ミリグラム以上」という項目があります。この項目でひっかかり、メタボリック症候群と診断された人も多いのではないでしょうか。
  しかし、そんな人たちに朗報です。今、血糖値が下がると、ある漢方薬が注目を浴びています。その効果の高さから、「糖尿病を治す漢方薬」と呼ばれ、実際に、血糖値が下がった人が続出しているというのです。
  早速、この漢方薬の詳細について、消化器外科の世界的権威で、漢方の名医でもある、昌平クリニック院長・杏林大学名誉教授の鍋谷欣市先生にお話を伺ってみました。
  「この漢方薬の正式名称は、白虎加人参湯加減方(びゃっこかにんじんとうかげんほう) といいます。白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう) という漢方薬に、生薬(漢方薬の原料)を加減して作られたものです。
 
あまり知られていませんが、白虎加人参湯をはじめ、八味丸(はちみがん)牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)など、糖尿病に対して有効な漢方薬はいくつかあります」
  では、白虎加人参湯加減方が、糖尿病に対して、どのように作用するのでしょうか。

clover10種類の生薬が絶妙に配合!
  「白虎加人参湯は、知母(ユリ科ハスナゲの根茎)、粳米(イネ科イネの果実または種子)、石膏(硫酸カルシウム)、甘草(マメ科カンゾウの根)、人参(ウコギ科オタネニンジンの根)で構成されています。
  ここから、粳米を除き、山薬(ヤマイモ科ヤマイモの根茎)、一位(イチイ科イチイの果肉)、沢瀉(オモダカ科サジオモダカの塊茎)、猪苓(サルノコシカケ科チョレイマイタケの菌核)、山梔子(バラ科のサンザシの果実)、黒豆(マメ科ダイズの種子)を加えたものが白虎加人参湯加減方です。
  では、生薬それぞれの効能をお話ししましょう。
  知母石膏には、体にこもった熱を冷ます作用があります。人参は、全身の機能、特に消化・吸収機能を高め、衰えた体力を補うだけでなく、血糖値を下げる作用も期待できるでしょう。知母石膏人参を組み合わせることによって、いっそう血糖値降下作用が強まるのです。
  また、山薬は、滋養強壮に力を発揮し、胃腸の粘膜を保護する働きがあります。沢瀉猪苓は、体内の余分な水分を排出する作用があり、やはり血糖値を下げる効果が期待できるでしょう。甘草はのどの渇きを止め、山梔子には消炎作用があります。一位黒豆は、糖尿病の民間療法でよく用いられる生薬です。
  これら生薬がバランスよく組み合わされることで、それぞれの作用が相乗的に働き、糖尿病に効果を発揮するのです」(鍋谷欣市)
  なるほど、絶妙なバランスで配合された漢方薬ということですね。では、この漢方薬を服用する際の注意点を教えてください。
 「妊娠中や出産直後の人、重度の感染症を患っている人、手術後など体力がひどく低下している人は、服用してはいけません。そして、この漢方薬は、いわゆるインスリン依存型(I型)糖尿病には大きな効果を望めません。インスリンとは、膵臓から分泌されるホルモンで、血糖値を下げる働きがあります。このインスリンが、なんらかの原因で分泌されなくなるタイプの糖尿病のことです。
  また、副作用の心配は、ほとんどありませんが、服用中になんらかの異常を感じた場合、漢方に詳しい医師か薬剤師に相談しましょう。
  白虎加人参湯加減方の『白虎』」とは、四神(方位の神様)の一つです。つまり、神にたとえられるほど、効果的な漢方薬ということができます。これらのことを守れば、きっと糖尿病の改善に役立つでしょう。
  特に、のどが渇き、汗と尿の量が多い、熱があり、体がカサカサしている、といった症状が現れている人には、より効果的です。また、糖尿病以外にも、日射病や皮膚病にも効果を発揮します」(鍋谷先生)
  もちろん、より一般的な、インスリン非依存型(II型)の糖尿病には、大きな効果を発揮するそうです。
  今春、メタボ健診の血糖値の項目でひっかかった人、糖尿病に悩んでいる人は、ぜひ糖尿病を治す漢方薬を試してみてはいかがでしょうか。

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