漢方掲載記事 『壮快』 目の難病は漢方で治る!

以下は、健康雑誌『壮快』2012年1月号(マキノ出版)に掲載された記事です。

clover 第3回 眼精疲労、ドライアイ
昌平クリニック医師  菅原 万喜

clover 早い人では2週間で改善する
  昨今、パソコンや携帯電話、ゲーム機などの普及により、現代人の間では眼精疲労やドライアイといった症状がふえています。皆さんの中にも、お困りのかたが多いことでしょう。
  眼精疲労は、目にこれといった異常が見つからないのに、目に疲労感やかすみ、痛みなどが続く状態です。頭痛や肩こりといった、身体症状を伴うこともあります。その原因は、日常生活や仕事での目の酷使や過労、精神的な疲労によるものが大半です。また、加齢による血行障害が原因になることもあります。
  ドライアイは、その名のとおり、涙の量が少なくなって、目が乾燥している状態を指します。目の疲労感や充血を伴う場合もあります。主な原因は、加齢による血行障害、目の酷使、ストレスなどが考えられます。
  また、体の冷えや加齢によって、涙の成分が変化したり、目の縁から出る脂の分泌量が低下したりすることがあります。これらが原因となることも少なくありません。
  東洋医学では、眼精疲労とドライアイの2つを、ストレスなどによる目の中の水分の減少、目の血行障害による同じ病態としてとらえます。すなわち、気(エネルギー)・血(血液)・水(血以外の体内の水分)の巡りの悪化によるものです。よって、処方する漢方薬も共通しています。
  実際に、眼精疲労とドライアイは併発する場合が非常に多くなっています。私が診察を行う漢方専門病院(昌平クリニック)でも、眼精疲労で来院する患者さんの8割以上に目の乾燥症状があり、ドライアイの患者さんにいたっては、ほぼ全員が目の疲れの症状も抱えているのです。
  眼精疲労とドライアイに用いるのは、温清飲(うんせいいん)補中益気湯(ほちゅうえっきとう)柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)の3種類の漢方薬です。3種類の中から、患者さんの体質を診て、どれか1種類を選び処方します。
  温清飲は、虚弱体質で貧血や皮膚が乾燥しがちなかた、また、のぼせやほてりなど、頭に熱がこもりやすい人に適しています。温清飲の生薬(漢方薬を構成する草根木皮)は、熱を取る黄連(おうれん・キンポウゲ科のセリバオウレンの根茎)、腎臓の機能を高めて全身に潤いを与える地黄(じおう・ゴマノハグサ科ジオウの根茎)、気を巡らせて疲れを取る当帰(とうき・セリ科のトウキ)など、8種類の生薬によって構成されています。
  補中益気湯は、胃腸が弱っていて、疲労による衰弱や体力消耗の症状がとくに見られるかたに処方します。補中益気湯は、不足している気・血・水を補い、巡りを改善する漢方薬です。血行を改善して疲労を解消する人参(にんじん・ウコギ科のオタネニンジンの根)、過剰な発汗を止めて潤いを取り戻し、気力を補う黄耆(おうぎ・マメ科のキバナオウギの根)、胃腸の働きを整え血行を促進する乾姜(かんきょう・ショウガ科ショウガの根茎)など、10種類の生薬で構成されています。
  柴胡桂枝乾姜湯は、神経が細やかな性格で、ドキドキしたり汗をかいたりしやすく、おへその上に脈を打つような動悸のあるかたに処方します。柴胡桂枝乾姜湯は熱性疾患などにも用いられる漢方薬で、肝臓の働きを高める柴胡(さいこ・セリ科ミシマサイコの根)や、乾燥を防ぐ括呂根(かろうこん・ウリ科キカラスウリの根)、血行を促進する乾姜桂枝(けいし・クスノキ科ケイの若枝)など、7種類の生薬で構成されています。
  これらの漢方薬を、1日数回に分け、服用してもらいます。 
  また、すでに眼科で眼精疲労やドライアイ用の点眼薬を処方されているかたも多いと思います。点眼薬は即効性がありますし、目の炎症や感染予防も兼ねて、引き続きご使用ください。
  漢方薬は、目の疲労や乾燥などの症状が完治するまで服用してください。眼精疲労やドライアイは、比較的治りが早いので、早い人では2週間で症状が改善し、1ヵ月以内に服用を終える場合もあります。

clover 目の不快感がすべて解消!
  では、実際の症例を紹介しましょう。
  60代の女性は、加齢によって涙の分泌量が少なくなり、ドライアイの症状と、目に疲労感を抱えていました。このかたは、頭に熱がこもりやすい傾向が見られたので、温清飲を服用してもらいました。飲み始めてから1ヵ月程度で、頭ののぼせが取れ、目に潤いが戻り、以前に比べて目の疲れも感じにくくなったようです。
  20代の女性は、1日じゅうパソコンに向かう仕事のせいで、眼精疲労とドライアイの症状がひどく、目の痛みを常に伴っていました。目が乾燥するたびに点眼薬をさして、症状をごまかしていましたが、しだいに点眼薬の効果があまり感じられなくなったようで、私が診察を行う漢方専門病院(昌平クリニック)に来院されました。このかたは、気力や胃腸の働きの低下、肌荒れが見られたので、補中益気湯を処 イラスト・点眼
方しました。すると、服用を始めて2週間で目の乾燥が軽減し、目の痛みも軽快したのです。その後も服用を続けて、半年後には目の不快感がすべて解消しました。
  40代の男性は、精神薬を服用しており、気疲れしやすい性格のかたでした。目の疲れがひどく、乾燥がうかがわれ、おへその上に脈打つような動悸がありましたので、柴胡桂枝乾姜湯を処方しました。服用し始めてから1週間後には、目の疲れが軽くなり、3週間後には目の疲労や乾燥がすっかり解消しました。1ヵ月後には、漢方薬を服用しなくていい状態にまで完治したのです。
  このように、眼精疲労やドライアイの場合、ほかの目の疾患に比べて短期間で治りやすい傾向にあります。
  皆さんも、眼精疲労とドライアイのつらい症状を、漢方薬で改善してみてはいかがでしょうか。

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