漢方掲載記事 『壮快』 目の難病は漢方で治る!

以下は、健康雑誌『壮快』2012年4月号(マキノ出版)に掲載された記事です。

clover 第6回 花粉症
 
昌平クリニック医師  菅原 万喜

clover 目のかゆみや充血をおさえる漢方薬
  今年も、スギやマツ、ヒノキなどの花粉が、街中に飛散する季節がやってきました。皆さんの中にも、毎年悩まされているかたが、おおぜいいらっしゃるかと思います。
  花粉症の代表的な症状が、クシャミや鼻水、鼻づまり、そして、目のかゆみや充血、まぶたのむくみ、目ヤニの発生、涙の流出などです。これらは、私たちの日常生活の妨げとなります。目のかゆみが我慢できずに、ついつい手でかいてしまい、眼球を傷つけ、目の周りが腫れてしまうことも珍しくありません。
  なお、これらの目の症状は、「アレルギー性結膜炎」ともいい、花粉以外にも住居のダニなどが原因で発症することがあります。
  漢方では、こうした目や鼻に現れてくる諸症状をおさえることによって、花粉症の改善を図ります。その際には、症状の度合いや体質により、処方する漢方薬が異なります。
  かゆみや充血などがひどい状態の場合は、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)を処方します。小青竜湯は、麻黄(マオウ科マオウや同属植物の茎)や桂枝(けいし・クスノキ科ケイの若枝)など、8種類の生薬(漢方薬を構成する草根木皮)によって構成されています。麻黄桂枝は、体を温めたり、冷えや余分な水分を体から取り除いたりして、抗アレルギー作用を発揮します。それにより、花粉症による諸症状を軽減するのです。
  また、胃腸の障害を起こしやすく、虚弱体質のかたには、苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)を処方します。苓甘姜味辛夏仁湯は、胃腸に対して刺激が少なく、体に優しい漢方薬です。こちらは、茯苓(ぶくりょう・サルノコシカケ科マツホドの菌核)などの7種類の生薬によって構成されています。
  目の症状は比較的軽い一方、鼻水が止まらないというかたに対しては、前述の小青竜湯麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)を加えて処方します。
  また、目の症状は軽い一方、鼻づまりがあるかたには、小青竜湯麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)を加えて処方します。    
  麻黄附子細辛湯は、抗アレルギー作用のある附子(キンポウゲ科カラトリカブトの塊根)や細辛(ウマノスズクサ科ウスバサイシンの根)など3種類の生薬で構成されています。麻杏甘石湯は、熱や腫れを治す石膏(せっこう・天然の含水硫酸カルシウム)やセキを鎮める杏仁(きょうにん・バラ科アンズの種子)などの4種類の生薬から成り立ちます。
  漢方薬は、症状の出始めやひどい時期には1日に3回服用し、症状が改善していくにつれて、服用回数を段階的にへらしていきます。

clover 2週間で症状が改善 翌年は出なかった
  私がこれまで診てきた患者さんでは、ある程度まで漢方薬で症状が治まってきたら、アレルギー体質を改善する漢方薬に切り替えるケースが多くあります。
  アレルギー体質の改善には、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)補中益気湯(ほちゅうえっきとう)小建中湯(しょうけんちゅうとう)など、冷えや水の滞り(むくみ)や瘀血(おけつ・東洋医学でいう血液の滞り)を改善し、体の抵抗力を高める漢方薬を処方します。
  当帰芍薬散は、 冷え症で、おへその両わきを押して痛みのあるかたに適しています。補中益気湯は、胃腸が弱く、体が衰弱しているかたに。また、小建中湯は、主に14歳以下の子供に処方します。

  アレルギー体質の改善に用いる漢方薬は、少なくとも1年程度は服用することをお勧めしています。体質を根本から治していきますので、アレルギー性結膜炎だけでなく、鼻づまりやクシャミといった他のさまざまな症状の改善も期待できます。
 
では、漢方薬で実際に花粉症が改善
花粉症脱却!
した症例をご紹介しましょう。
 
20代の女性Mさんは、毎年春先になると、目のかゆみや充血を起こして、仕事に支障を来たしていました。花粉症の薬を飲むと、眠くなってしまうということで、漢方薬を希望されて、私が診療している昌平クリニックに来院されたのです。
 
まず、小青竜湯を処方したところ、2週間で症状が改善し始めました。しかし、Mさんは胃腸が弱かったので、小青竜湯の長期服用には体に負担がかかってしまいます。そのため、その後は苓甘姜味辛夏仁湯に変更し、さらに症状が軽快した後は、アレルギー体質を改善する当帰芍薬散を約1年間服用してもらいました。アレルギー症状が出ることもなくなり、体調も優れているようでしたので、服用をやめてもらいました。翌年の花粉症の時期には、症状はもう出なかったようです。
  このように、漢方薬は薬とは違い、体質自体を変えていきますので、毎年服用する必要もなくなります。
  最後に、漢方薬を服用する際の生活上の注意点を述べます。
  体を冷やしすぎたり、水分を多く取りすぎたりすると、症状が悪化します。水分の摂取量に留意し、生野菜や甘いものなど、体を冷やす食品を控えるようにしましょう。

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